濃茶デモンストレーションと茶会@イェール大学
2009年4月18日 (土)
昨日のシンポジウムに続いてこの日は午後2時からマクニールホールで
濃茶のデモンストレーションと、続いてルイス・カーン設計のギャラリーロビーで
100名の予約者を対象に、茶机を用いた茶会を行った。
実はこの日の朝、ある訃報が私のもとに飛び込んだ。
NYで約40年間茶の湯の普及に努めてこられた裏千家茶の湯センター
前所長の山田尚氏。今日アメリカでこれだけ茶の湯への理解が深まっている
事に、同氏の功績によるところは非常に大きい。私はデモンストレーションに
先立ち、濃茶の成り立ちや回し飲みをする徳書生の意義を説明、そして
点前に先立ちこの日のデモを山田氏の遺徳に対して捧げることを宣誓し
始めた。
この日もホールの定員400名は満席。後部には立ち見も出ていたが、
点前が始まると前方によって皆さん熱心にご覧いただいた。参加者を
代表しての舞台上の客は3名。コレクターであるリチャード・ダンジガー氏の
夫人、ペギーさんがご正客、次客は昨日moderatorを務めてくださった
表千家のお茶を学んでいたという渡辺武さん、お詰めは裏千家の
師範でもある伊勢ギャラリー代表の伊勢富さん。
満場が水を打ったような静けさになり、点前の一挙手一投足に視線が
集まる。この日は道具も日本で行う濃茶点前と変わらない作品を集めた。
茶碗は16世紀の高麗粉引、茶杓には利休の茶杓師・甫竹作の銘
「大海」、茶入はこの日も参加されお手伝いまで頂いた辻村史朗氏に
敬意を評して同氏作の肩衝茶入を使わせて頂いた。
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↑デモンストレーションでの濃茶の道具組。
朝鮮風炉釜。水指はこの日のために日本から
取り寄せた木地釣瓶。
点前は元来見せものではない。舞台上でデモンストレーションを
行う際一番心がけるのが、いかに観客を巻き込み一座を成り立たせるか
ということ。この日も会場に早くから香を焚き、冒頭の解説でも、参加する
事で成り立つ茶の湯の芸術性を説いた。さらに山田氏へ捧げるとの
想いが、同氏に薫陶を受けた方も多かった会場の一体感をより高めた
のだと思う。この日の一座建立は確かに成立した。
その後のホールでの茶会も盛況で、先ほどお詰めを務められた
伊勢さんも同じ場所で一席構えられ、多くのお客様に限られた
時間で応対を繰り返した。機能が形を決めることをよしとした
ルイス・カーンの空間にあって、やはり現代の必然性が求めた茶の
かたちである茶机が、我田引水であるがきちんと調和してくれて
いた。道具もあえて新旧を取り合わせ、先ほどの濃茶との違いを
多くの方々が楽しんでくださったように思う。
(この日のイヴェントのこと、偶然この時期に渡米しご参加くださった
アナウンサー深澤里奈さんがブログに詳しく書いてくださっています。
右参照→http://ameblo.jp/rinaf/theme4-10011841238.html#main)
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↑ルイス・カーンの空間と調和する茶机と道具組。
茶碗は桃山時代の織部沓型。黒田泰蔵作白磁
平水指。棗は直斎好・嵐山桜大棗。
すべて終わり片づけ、ギャラリーを出たのは5時過ぎ。NYからお手伝い
に駆け付けてくださったお稽古に参加のMさんの車に数人で
乗り込み、2時間のドライブを楽しみながらマンハッタンへ戻り、
打ち上げ。心地よい達成感を得て、自宅に戻った。

2009 年 6 月 4 日 9:52 AM
新しくアップされたブログを読ませていただいて、改めてこの1年間の千さんのご活動の幅広さに驚かされています。一個人、そして芸術に携わる者として、この素晴らしく充実した活動経験を素直に羨ましく思う気持ちと、同じ日本人としてご活躍なさっている姿、とても誇らしく思います。
実は先日5月の終わりにブルータスのブログに初めてコメントさせていただいた直後22日にメトロポリタンのフランシス=ベーコン展でお見かけしました。感激しつつご挨拶したいという気持ちをぐっとこらえて、お邪魔にならない様にと。私は友人のアメリカ人の画家の女性といたのですが、ベーコン展はいろんな意味で思い出に残りそうです。
NY滞在も残りわずかですね。清々しい初夏のNYを満喫されますように。