北欧の「手仕事」を学ぶ

時間をかけてゆっくりとつくること

2010年3月16日 (火)

織りにもだいぶ慣れてきて、模様織りを追求している今日このごろ。今、個人的な作品として織っているのがこんなカーペットです。自分で組織図を書いて織り機のペダルなどをセットするのは、難しいけどとてもやりがいがあるのです。そして、ヨコ糸をめぐらせるたびに模様があらわれてくるのを見るのが、なんともいえずうれしい。

さて、今週から夏のスクールエキシビジョンで販売するための「トレイ」をつくるプロジェクトの一環で、プリントの授業がはじまりました。はじめに丸いトレイのかたちに合わせて、デザイン画を描きます。わたしたちの住むvickleby村の木々が図案のモチーフになっています。

今回は初めて「リノカットプリント」にトライしました。床材などに使われるリノリウムを彫刻刀で彫って、版をつくります。思ったより堅い素材で、最後は指にマメができるくらいでした。ちなみに、この材料は日本でも画材屋さんなどで手に入るので、興味のある方はぜひトライしてみてください。

インクをしみこませたスポンジを版にたたきつけて、スタンプと同じように押すだけ、というかなり原始的なプリント方法で、シルクスクリーンが開発される前のヨーロッパではかなり盛んに使われていたそうです。

かつて、ウィリアム・モリスのテキスタイルはこの手法でつくられていたそうですが、今ではほとんど廃れてしまっているとか。ちなみに、インドではこれとほぼ同じやり方で、今でもテキスタイルが生産されています。

リノカットプリントは、準備にもプリントにも時間はかかりますが、私にはすごくしっくりときました。木版画に似たようなハンドプリントの味わいが出るし、スクリーンプリントに比べたらインクも少量で済むし、版を洗うための水もほとんど使わないし。経済にも環境にもやさしいプリント方法なんじゃないかな。

 

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ウールのフェルトをつくる

2010年3月5日 (金)

セムラ!セムラ!セムラ! この時期に食べる特別な季節のお菓子です。イースター前の約40日間、断食をする習慣があった頃、その直前に栄養をとるために食べていたものだそう。今はみんなの楽しみのひとつです。ハンバーガーのバンズのようなパンに、たっぷりの生クリームとアーモンドクリームがはさんであります。パン屋さんやスーパーなど、どこでも売っていますが、学校で出たセムラは甘さ控えめでおいしかった。

この週はゲストティーチャーがスウェーデン産のウールを使ってフェルトづくりを教えてくれました。気だてがよくて賢くて美人のイヴォンヌ先生が、まずはデモンストレーション。スウェーデンのウールは質がよく、すぐに繊維がからまってフェルト化しやすいのだそうです。

つくりかたはすごく簡単。竹の簾の上に、ウールを2重に置いて(なにか動物がいるみたいだ)、

次にプラスチックシートをはさんでもう一度ウールを置き、石けん水とお湯をかけて、のり巻きをつくる要領でローリングすると、こんなにぺったんこに。繊維がからみ合って、1枚の布になります。そしてこの形が何になるかと言うと…… 私は今回、ミトンをつくることにしました。

右側のが、できあがったミトンです。北欧で古くから使われているかたちで、ぶ厚く、風や水をほとんど通さないので保温力抜群。汚れも少ないし、ウールの強さを実感できるアイテムですね。水玉のポットもつくってみました。手びねりで陶器をつくる感覚に近いです。

こちらは、クラスメイトのキャロリーナの作品です。きれいな色を使って次から次に大作をつくっていました。かわいい。

 

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番外編 ストックホルムファニチャーフェア

2010年2月19日 (金)

自分の展示の準備が一段落したので、北欧最大の国際家具見本市・ストックホルムファニチャーフェアをのぞいてきました。雪の降り積もる中、いろいろな国のバイヤーやジャーナリストが続々と門をくぐっていきます。

今回の目玉はポール・スミス。なぜストックホルムにポール・スミス?という気がしなくもなかったですが、ほうきやキッチンツールなど身近なものを軽やかにアレンジした遊び心満載のブースでした。

メーカーのブースでは、フィンランドのTAPIOVAARA( HYPERLINK “http://www.tapiovara.fi” http://www.tapiovara.fi)の家具がきれいでした。どれも50年代の椅子やテーブルを復刻していて、ちょっと丸みを帯びたフォルムに安心感を感じます。ブースのデザインもシンプルで素敵でした。

学生のブースは、大きなメーカーにはなかなかできない発想があって刺激的。特に、環境問題に対する提案をしているところがすごくいいと思いました。農家からスーパーマーケットまで野菜をデリバリーするためのカートのデザインや、コンポストの新しいかたちの提案など、ルンド工科大学のブースがきらりと光っていました。

ほかの学校でも、キッチンに野菜を吊るすためのツールや、ドライフードをつくるプロダクトのプロトタイプなどが目立っていました。凝ったデザインのものより、こんな「実用的なもの」のほうが時代を象徴しているように感じます。

こちら、我がカペラゴーデンのブースです。今年は外部のデザイナーがキュレーションをしていて、家具、陶芸、テキスタイルの作品をあえて混沌と、おもちゃ箱をひっくり返したように展示していたのでした。

インテリアテキスタイルのブースもたくさんあります。スティグ・リンドベリのプリントテキスタイルを手がけている方と直接ゆっくり話せたのがとてもよかった。版数が多くて難しいプリントを、ほぼ手作業に近い状態でていねいにつくっています。まだ日本では取り扱いが少ないのですが、日本のマーケットにはとても興味がある、とおっしゃっていました。

こちらは、手織りのカーペットを扱うメーカーのブース。こういった織り物のサンプルの山が、赤、グリーン、イエローと色別に分かれていてとてもきれい。思わずさわりたくなる展示でした。

半日ほどでたたたーと駆け回ったファニチャーフェア。気がつくと、大きなメーカーの「これでもか!」というお金をかけた展示よりは、個人のデザイナーや小さめのファクトリーのブースに足がのびていました。また、最近知り合ったプロダクトデザイナーもかわいいコンポストのプロトタイプをつくっていたりと、エコロジカルなものに今まで以上に真剣に取り組むデザイナーが増えているようです。次の時代のものづくりに必要なものは何か、真面目に考えないとな、と思いました。

 

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展覧会がはじまったよ

2010年2月12日 (金)

今朝のエーランドは、枝に樹氷がからみついて、まるでお花みたいです。展示の搬入をするため、ストックホルムに向かいます。バスで6時間かかるので、移動だけで1日つぶれてしまいますが、こんなときにひたすらオーディオブックを聴くのが、今のスウェーデンでは主流なんですって。

翌日の朝からセットアップ。エーランド島で拾ってきた枝を使って、テキスタイル折り鶴のモビールをつくっているところです。下げる場所や鶴の数のバランスをわざと崩して、危ういバランスでゆっくりと動くようになっています。

外から見るとこんな感じ(写真下)。秋の授業でつくった苔柄のシルクスクリーンで、透ける布にプリントをして、窓辺に布のカーテンを垂らしました。シャープな空間が、ずいぶんやわらかい印象になったように感じます。

横に長ーいマガジンラックに、季刊サルビア全巻を陳列するのが夢だったんですよね。壁紙みたいでしょ?初日には、学校の友達が遊びに来てくれました。

2日目の夜のグリーンティー・パーティーも予想以上の盛況ぶりでした。抹茶やあんこが苦手な人が多いと聞いていたのですが、和菓子を出してみたら大好評。ピンクのお花のかたちの練り切りが次々と消えていきました。「わたしあなたの本持ってるのよ」というデザイナーやイラストレーターの人が何人か来たのもうれしかった。

会場に来たほとんどの人が、この靴下をさわって「これはすごい、なんなの?」と言います。そういえば、こちらの国はウールやリネンは豊富ですが、こんなに細くてやわらかいコットン素材はなかなか見かけません。コットンは温暖な国で採れるもの、そういえば日本は綿の国だな、と気づかされました。

次回はストックホルムファニチャーフェアをレポート。近いうちにまた!

 

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展覧会がはじまるよ

2010年2月4日 (木)

なんと、ストックホルムのアートブックショップ「konst-ig(コンスティッグ)」で2月8日から21日まで展覧会をやることになりましたー(http://www.stockholmdesignweek.com/exhibitors/konst-ig-art-bookseller)。

「konstig」はデザインや写真、建築関係の本が多い、クールな本屋さんです。前に私の本を置いていたそうで(わりと売れたらしい!)オーナーのシャルロットは「おお、セキ!あなたの作品のことはよく知っているよ、展覧会をやってちょうだい」と、ここ数ヶ月、とんとん拍子に話が進んでいったのでした。ちなみにスウェーデン語で「konstig」は「strange」という意味。ふふふ。

展示の内容は、日本でつくっているサルビアの本や靴下、手ぬぐいなどに加え、去年からつくりためていたプリントテキスタイル、そしてスカートやショールなど。日本で培ってきた「古きよきをあたらしく」のサルビアの精神がスウェーデンにも届くといいなと思い、日本の職人さんやつくり手を紹介する英語のキャプションを充実させる予定です。

クリスマスのときにスウェーデンの人たちに好評だった「テキスタイル折り鶴」も大量につくりました。カペラのまわりにある木の枝にぶら下げて、モビールをつくりたいなと。

9日の夜には、友人のショップKIKI(http://www.ki-ki.se/)の緑茶で「グリーンティー・パーティー」をひらきます。ありがたいことに、オリジナルの和菓子も用意してくれることになり、プリントアウトした模様の紙でこんな菓子皿を準備することにしました。いよいよ盛り上がってきた……。

ちょうどストックホルムファニチャーフェアと期間が重なっていて、世界中からデザイン関係者が集まる一番いいタイミングなんですって。もし、まわりにファニチャーフェアに行く方がいたら、ぜひお誘いくださいね。次回は展示会場レポートにしますので、どうぞお楽しみに。

 

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ときには外の空気を吸って

2010年1月27日 (水)

テキスタイルクラスのデイトリップの日。学校のバスに乗って、近くの街の美術館に行きました。こちらは、古都・カルマルにある、モダンミュージアム。この壁、よく見ると板張りなんですね。全面黒のシャープなデザインの建築ですが、クールすぎない仕上げがスウェーデンらしいと思います。

私たちの住むスモーランド地方の作家たちによる企画展で、油彩、彫刻、テキスタイルなどいろんなジャンルの作品がありました。スモーランドは個人でものづくりをするアーティストが多い地域で、自然あふれる環境で小さな工房を開き、春夏の観光客の集まるシーズンには仕事場の一部をお店にする、というスタイルをとっている人が多いようです。

この作品は我がエーランド島在住のKickenさんによる、布のコラージュ作品。スウェーデンでも人気のあるテキスタイルアーティストです。布をはぎ合わせ、刺し子のようにちくちくと刺繍が施してあります。ちょっと写真がブレちゃってごめんなさい!

次は、ガラス細工で有名なニブロという街のギャラリーへ。もともとガラスづくりの工場だったれんがの建物が改装され、今はアートスクールとギャラリー、資料室などの複合施設になっています。ニブロにはこんな高い煙突つきの古い建物がいくつか残っていて、独特のクラシカルな雰囲気があります。

中に入ると……モダンな感じ。そのギャップが面白い。

全体的に「意外性を楽しむ」をテーマにした展示構成でした。たとえばこれ(下の写真の赤いクシャクシャした作品)、どこの家にもある「おばあちゃんのひざかけ」の編み地を使って、丸いかたちのオブジェにしたもの。素朴で野暮ったい感じの素材を、グロテスクに見せたいという趣旨なんですって。

透明なウロコを重ねたような作品は、どこにでもあるプラスチックのティースプーンを横糸として織り機で織ったものなんです。見慣れたものを、違うかたちで見せられると、また新鮮。うちのクラスのベーリット先生は、どうやらこの「意外な素材のテキスタイルづくり」というのを次の課題に考えているみたい。よーし、なんか探すぞ!

 

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繊細、難解、ボビンレース

2010年1月21日 (木)

1月はあっというまに日が過ぎて行きます!
そんななか、なんとクラスの友達が誕生日のお祝いをしてくれましたー。
誕生日が近いクラスメイトのエレンちゃんと一緒のお祝いです。うれしいな。

さて、今日はスウェーデン語で「Knippring」と呼ばれる、ボビンレースづくりの授業でした。フランドル地方(オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)で16世紀に発展し、ヨーロッパ中に広まったもので、北欧では帽子やブラウスのふち飾りなどに使われていたそうです。

↑繊細なレースは見ているだけでうっとり。

手づくりのための道具は本当にどれもかわいい。そして道具が美しいとつくり手のやる気もぐっと高まります。クラスの女子たちもハイテンション。楕円型のクッションのような台に、ボビンと呼ばれる糸巻きをセットして、ピンで固定しながら糸を交差させていきます。

拡大すると下の写真のような感じ。ドラム状の芯台にピンを刺す位置を示したカードが巻いてあり、順番に編んでいきます。ドラムの向こう側にちょっとずつレースができるのですが…、うーん、文字で説明するのがかなり難しいな。だんだん、ボビンが「しめじ」に見えてきたぞ!

そして、この下の写真が、下絵のカードです。習ったばかりの私たちには「???」で、この模様を編むには相当な修行が必要ですが、パターンのタイトルや説明が手で描かれていたりするのも素敵なのです。

↑マッチや鉛筆、定規も道具として使います

構造はいたってシンプルで、ホワイトボードに書いてある「基本的な糸の交差」を覚えれば、この組み合わせでいろいろな模様が編めるそうです。
そうそう、表記をよく見るとわかると思いますが、私たちの学校は留学生が多いので、スウェーデン語と英語を交えて教えてくれるのがありがたいところ。日常会話もほぼ英語です。
スウェーデン人に「どうしてそんなに英語がしゃべれるの?」と聞くと、小さい頃から英語のテレビ番組をスウェーデン語訳で見ているうちに自然に覚えた、という人が多いですね。確かに、英語のドキュメンタリーや映画が毎日放送されています。日本のテレビでもぜひやってほしい!

 

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伝統的な織り紐「バンド」

2009年12月21日 (月)

昨日からずっと雪、雪、雪です!

授業のあと、しんしんと雪が降る中、夜の真っ暗な道をクラスのみんなと散歩に出かけました。途中、雪合戦をしたり、先頭の人がつけた足跡(わざと歩きにくくしてある)にそって歩くゲームをしたり、子どもに戻って大はしゃぎ。

クリスマス休みに入る前に、2年生の作品のプレゼンテーションがありました。自分で展示したい場所を決め、ほかのクラスの生徒を招待して発表する、というスタイルです。アトリエ、家のリビングルーム、食堂など、ひとりずつ展示スペースが違うので、その人の個性が際立ちます。小さなエキシビジョンのようです。

↑窓からの光が差し込んできれいな刺繍の作品

1年生は、北欧の伝統的な民族衣装に使われてきた「バンド」の制作をしています。日本の和服に使われる「真田紐」や「組紐」に近いですね。今回は、教室の本棚にある古い本が教科書です。

バンドは原始的な織り物なので、木の道具(左)や、パンチ穴を開けた紙のカード(右3つ)だけでつくることができるのが面白いところ。織りはどうしても難しいと思ってしまいがちですが、ちょっとしたスペースがあれば、こんな手のひらに収まるかわいい道具を使ってできるんです。

ベーリット先生がお手本を見せてくれました。窓枠にくくりつけた縦糸に木の道具をはさみ、上下に動かしながら、隙間に横糸を入れて模様をつくっていきます。織りの基本を学ぶのにとてもいいと思いました。難しいものではありませんが、完全な手仕事なので、できあがるまではかなり時間がかかります。

↑マッチや鉛筆、定規も道具として使います

下の写真は、先生が今までつくりためてきたバンドコレクション。きゃしゃで繊細なのがリネン、ざっくりした風合いなのがコットンです。太いものから細いもの、デザインもさまざまで見ているだけで楽しい。ああ、私も早くマスターしたいな!

さてさて、いつも読んでくださっているみなさま、ありがとうございます。年末年始は日本で過ごすため、しばしカペラゴーデンとはお別れです。
2010年にまたお会いしましょう!

 

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クリスマス前の過ごしかた

2009年12月14日 (月)

いよいよ一年で一番大切にされている行事、クリスマスが近づいてきました!
スウェーデンでは、クリスマスイブからさかのぼって4週前の日曜日を「ファースト・アドベント」といい、この日から日曜ごとに1本ずつキャンドルを灯してキリストの降誕を待つのだそうです。


ほとんどの家の窓辺にこのライトが灯されます

週末ごとに街じゅうでクリスマスマーケットがひらかれます。クリスマスのお菓子やパン、プレゼント用のミトンや鉢植えのヒヤシンスなどが売られ、大にぎわいです。道端ではグロッグというスパイスたっぷりのホットワインがふるまわれていました。おいしかった!

ここ、カペラゴーデンは、やっぱりクリスマスの行事も特別です。たとえば、昔ながらの製法のキャンドルづくり。蜜蝋を溶かした大鍋に、ひも(キャンドルの芯)を入れては吊るす、ということを何百回も繰り返していきます。吊るされたキャンドルのまわりを生徒たちがぐるぐると回って深夜に完成します。


この製法だと、キャンドルの灯りが長く保てるのだそう

クリスマスリースも手づくり。庭の木の枝を針金で巻き、リボンやりんごを使ってデコレートします。わたしはずいぶん悪戦苦闘しましたが、こちらの子たちは、ささーっとハート型のリースをつくっちゃうんですよ。

カペラゴーデンのクリスマスマーケットでは、生徒主体で1日限定カフェをひらきました。型抜きのジンジャークッキー、フルーツやナッツがぎっしり詰まった重たいパン、サフラン入りの黄色いロールパン、アーモンドの砂糖がけなど、この季節のレシピをみんなに教えてもらいました。

私がマーケットで販売したのは、布でつくった折り鶴のオーナメント。今、こちらでは折り紙がブームらしく、これを見た生徒から「わたしにもつくって!」とたくさんの注文を受けました。見慣れた折り鶴も、テキスタイルでつくるとモダンで新鮮に見えてきます。日本とスウェーデンの文化をこんなふうに混ぜていくのは、なかなかおもしろいかも。いいヒントになりました。

 

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クロッキー週間

2009年11月26日 (木)

冬、晴れた日の朝は、空一面がピンク色に染まります。
この写真は7時半くらいのもの。このところずっと天気が悪くてグレーの景色ばかりだったので、心から感動。

さて、先週は、月曜から金曜までアトリエで毎日クロッキーの授業でした。ゲスト教授は画家のヴェイッコ先生。モデルを見ながら、[1分×20回]→休憩→[5分×4回]→休憩→[10分×2回]など、20分を1ローテーションとして進めていきます。

↑天井が三角のアトリエは、抜けがあって居心地がいい

日本の美大に通ってはいたものの、今までほとんどクロッキーってしたことがなかったんです。抽象的なイラストは好きだけど、リアルな人物の絵を描くのは苦手、という意識がありました。実際、初日の午前中は、ほとんどかたちにならなかったし。みんなが自由な表現で描いているのを見て、なんだ、これでいいのか、と思えてはじめてリラックスして描けるようになってきました。。

↑6Bの鉛筆で描いたもの

鉛筆以外にも、インク、パステル、木炭など、画材を気分次第で変えて行きます。2日目は、版画用のインキを古雑誌の表紙にローラーで塗って、カーボン紙のように転写する「モノタイプ」という技法を教えてもらいました。線ににじみやかすれが出て、版画的な表現になります。

↑いらなくなった雑誌を再利用して、画材に

↑画面の余白のインク汚れも、なかなかいい味わいです

鉛筆で描いていたものから、最終的にはオイルパステルを使ってこんな(↓)線画になってきました。楽器を弾いているような感覚で、しゃっしゃっとリズミカルに、ためらいなく手が自然に動いていく感じです。

ああ、楽しい。前回のプリントの授業に引き続き、また脳内麻薬が放出されているような気が……。特に右から2番目の後ろ姿は「背中が何かを語っている」ように感じません? 1週間ずっとクロッキーができるなんて、なかなかない贅沢な時間を過ごせました。

 

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シルクスクリーンプリント

2009年11月21日 (土)

ずっと楽しみにしていたシルクスクリーンプリントの授業です。

7月の夏期講習でもお世話になったリサ先生が、ストックホルムから指導しにきてくれました。はじめの数日はイメージスケッチを描きます。今回は3色(3版)で構成する課題です。地面に這うようにのびる葉っぱや苔を、点と線の色の重なりだけで表現したいと考えました。

↑ 水彩絵の具を使って何度もスケッチをします

リピート(版を繰り返した時の絵柄の調整)を考え、デザインを決定したら、専用のインクでフィルムに絵を描きます。手描きの味わいを残したいため、わざと線を歪ませたり、こすったりしながら、慎重に下絵をトレースします。

↑ 1回描くと修正が難しいので、時間をかけてゆっくりと

これができあがった版。ピンクの感光材を塗ったスクリーンに、絵を感光して焼き付けます。同じようなものが、A色、B色、C色の3種類の版ができあがります。

布をテーブルにぴったりと貼り付け、インクを調色したらプリント開始。自分の描いたA3程度の絵が、大きなテーブルにどんどん広がっていく時間は、なんともいえない高揚感があります。色を重ねれば重ねるほど深みが増して行くし、違った色を使うとがらりと世界観が変わる。1週間ほぼ毎日プリントの作業をしていたのですが、プリント・ハイとでもいうのかな、体は疲れているんだけど精神はどんどん冴えてくるような、不思議な恍惚を感じました。

↑ プリントで悟りをひらく? 気分は修行僧

この日は8メートルの長さのテーブルに、3種類の生地と色を変えたプリントをしました。乾くのを待つのに時間もかかるし、これでほぼ1日を費やす感じです。ちなみに左が、私の尊敬するリサ先生。この学校ではプリントを専門に教えていますが、自分のスタジオではテキスタイル全般のディレクションをしています(http://www.hv-atelje.com/)。劇場や庁舎の巨大なタペストリーやカーテンなど公共的な仕事をたくさん手がけているそうです。

仕上がったテキスタイルを家に持って帰ってきて、今まで無地のリネンのカーテンだったところに吊るしてみたら……。おおー、部屋の印象ががらりと変わって、外はグレーの曇り空なのに、急にはなやかな気持ちになりました。

部屋の中で過ごす時間が長い北欧の冬、みんながインテリアファブリックにこだわる理由が、わかったような気がします。

 

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ひさびさの都会を満喫

2009年11月6日 (金)

1週間の「秋休み」があったので、水の都・ストックホルムに行ってきました。

ちなみにこの国の学校には、2月に「スポーツ休み」(スキーなどスノースポーツをするための休暇)が、3月に「イースター休み」(復活祭の休暇)があるとか。もちろん、クリスマス休みと長い夏休みもあるので、日本の学生から見たら「休んでばっかり」に感じるかもしれません。

エーランド島とストックホルムは300キロほど離れていて、まずバスで40分かけてカルマルという都市へ行き、カルマルからストックホルムまで電車で約5時間。遠いです。今回のストックホルム行きで、初めてX2000という新幹線みたいな電車に乗りました。ちょっとレトロな感じの塗装がかっこいい。ビストロ車両では、真っ赤なシートに座ってサンドウィッチやパスタが食べられます。車窓から見える森や湖もきれいだし、ヨーロッパの電車の旅はいいなあ。

町中の木が黄色や赤に色づいて、寒いけどこの季節の北欧も素敵だなあ、と思いました。教会の敷地内にあるお墓に、一面の落ち葉が舞っているのは、圧巻でした。

↑小さなお墓にはきれいな色のお花が供えられています

Nordiska Museet(北方民族博物館)では、北欧の伝統的な織物や衣装を大量に見ました。本ではいろいろ見ていたものの、やっぱり本物は違う。
たくさんの引き出しの中からひとつ選んで引き出すと、たとえばこんな織物が出てきて、簡単な説明が読めます。決して派手な美術館ではないけど、テキスタイルに興味がある人にはおすすめしたい。北方少数民族・サーメについての展示もとてもていねいで、今後の制作の参考になりました。

↑いつかこんな作品がつくれたらいいな

最終日は朝早く起きて、前から一度行きたいと思っていたグンナー・アスプルンド設計の「森の礼拝堂」へ。

広大な敷地の中、ゆっくりと歩いて十字架をめざすと、精神が静まってくるのがわかります。ラッキーなことに、たまたま庭の掃除をしていた係の人が「中も見たい?」と声をかけてくれて、礼拝堂の中まで見学できたのです。曲線が美しい石造りの室内は、荘厳でした。

↑カーサ読者ならご存知「森の礼拝堂」。世界遺産でもあります

ネーミングがおもしろい「coffice」というカフェは、無造作にスウェーデン地図が貼ってあったり、工事用の脚立が置いてあったり、すべてが「つくりかけ」な感じがクール。奥が設計事務所になっていて、オフィスの一部としても使われているみたいです。

しばらく自然に囲まれた毎日だったので、なんだかすべてが刺激的でした。
ストックホルムは都会と言ってものんびりしていて居心地がいいです。近いうちにまた来ますー。



 

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一家に一枚、トラス・マッタ

2009年10月26日 (月)

スウェーデンの家庭には必ずといっていいくらいある、トラス(ぼろきれの)・マッタ(マット)を、この1ヶ月くらいかけてつくりました。日本では「裂き織り」とも呼ばれ、いらなくなったシーツや服などをリユースし、細長く裂いて織る、丈夫な生地です。


裂いてぐるぐる巻きにした布を、よこ糸として使います

ぼろきれを持っていない私たちは、薄手のコットンの布を染めて使いました。染色は、思った通りの色に仕上げるのがなかなか難しい。特に深みのある渋めの色を出すのに、テストを繰り返しました。


小さな洗面器で、染色テストをします

なにせ織りはほとんどはじめてなもので、たて糸を織り機にセットするだけで一大事。失敗を重ねつつ、準備にものすごい時間がかかりました。ここでやっと織り始めです。


ううう、まだまだおぼつかない手つき……。

織る作業はとても楽しい。同系のピンクでも、濃淡を組み合わせたり、濃い紫と淡いベージュを組み合わせたりと、違う色の裂き布を使うと、色がミックスされて面白い表情になります。

そして、できあがった全員のトラス・マッタを、校内で発表しました。

アースカラーでつくる人、部分的に裂き布を結んで立体感を出す人など、同じストライプのマットでも個性が表れます。センターから左右対称になるように構成した私の作品は「デザイン的にはトラディショナル・スウェーディッシュ、でも色使いがなんだかモダン」なんだそうですよ。
はじめての大作! 家で使うのが楽しみです。

 

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ひつじ計画

2009年10月20日 (火)

秋です。ここ数日で、赤い葉っぱがぐっと深い色になりました。朝は2度まで下がる日もあります。編みものをはじめたり、薪を用意したり、冬じたくの季節です。

今日は近所にあるひつじの飼育場に行ってきました。刈ったばかりの毛を譲ってもらい、手で紡いでウールの毛糸やフェルトをつくって作品をつくろう、というプロジェクトに参加させてもらっているのです。地元で育てた羊で毛糸をつくるなんて、なかなかできない体験ですよね。

↑手前は生まれてすぐの赤ちゃん。奥は毛を刈る前の親羊

↑こちらのみなさんは毛刈り済み。ちょっと寒そう。

ここで飼っている羊は7種類で、全部で500匹。夏は広い草地に放牧していますが、寒い時期はこの小屋で過ごすそうです。先週、オーストラリアから職人がやってきて、毛刈りを終えたばかりだそうです。あちこちから「ぼへへへへへへー」という鳴き声が聞こえてきます。

↑500匹のひつじたち。ランチタイムのため草にまっしぐらであります。

刈った毛は、ごみや汚れをとりのぞき、荒くほぐしてひと晩水につけた後、何度か洗って乾かします。地味ですがなかなか大変な作業です。よく乾いたら、毛を細かく梳き(カーディング)、紡ぐ作業(スピニング)をする予定。毛糸ができたら庭でとれた植物で草木染めをしようと計画中ですので、できあがったらまたおしらせしますね。

↑刈ったばかりの毛。くるくるカールしているところがかわいい。

毛糸制作中です!

 

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子どもの頃に描いた「おうち」

2009年10月8日 (木)

今日は家のお話。

私がいま住んでいるエーランド島のVickleby村は夏の避暑地でもあるので、景観規制が細かく決められています。屋根の勾配がどこもほとんど同じで、子どもの頃に描いた「おうち」のかたちだなあ、といつも思います。

シルエットは同じだけど、チョコレートブラウン、れんが色、ブルーグレーなど、壁の色が違うのがまたかわいい。建築家である大家さんが設計した我が家は、青いドアが目印です。

木目が見える、チョコブラウンの壁。渋い。

れんが色の壁の家。この色を一番よく見かける。

我が家はこちら。小さな煙突つきです。

部屋の中はそれほど広くありませんが、シンプルなつくりで使いやすいです。特に、大きめのオーブンがついたキッチンは、窓から光が入って明るいのが気に入っています。天板が木製なのもあたたかい感じがしていい。パン生地をこねて、発酵して、焼いて、という時間をとても楽しく過ごせます。

ちなみにスウェーデンでは、男性も料理が大好き。たとえば自分の誕生日に、お得意レシピのケーキ焼いて持って来るのが普通なのです。びっくりしたー。

愛猫ペロも日なたぼっこ。

何せお店がまわりにないもので、保存食をつくるのも日課です。

今日は、にんじんときゅうりの輪切りを干して、ピクルスをつくりました。すこし甘みを抑えた味付けにして、そのまま食べるのはもちろん、炒め物や煮物にどんどん使います。時間がないときや、もう一品欲しいな、というときにぴったり。漬けるときに、生のディルをちぎって入れるとスウェーデンの味に早変わり!おすすめです。

天日干しすると、味がしみやすいそうです。

できあがりー。

 

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はじめての授業

2009年9月30日 (水)

テキスタイル学科の授業がはじまりました!

教室内。スウェーデンの伝統的な織り機が置いてあります。

先生の「〈好きなフォルムをあらわす言葉〉と〈好きな手触りをあらわす言葉〉のふたつをカードに書いて箱に入れてください」という言葉でスタート。全員が書いたカードをシャッフルして、生徒がひとりずつピックアップします。私が引いたカードには「cube」と「LEN(スウェーデン語で、桃肌みたいな質感のこと)」とありました。

次に「では、この言葉に合うものを、学校中から探して来て」と先生。私は小さな木片を拾ってきました。自分で見つけたモチーフをもとに、リネンの布に刺繍をしましょう、という課題です。

何になるのかわからないまま、刺繍スタート。

刺繍はあまり経験がないので、今回は日本で時々やっていた「刺し子」の技法で全面に絵を描いていくようにステッチしました。スウェーデンの生徒たちは小さな頃から刺繍に親しんでいるようで、見たこともないようなテクニックを持っている人ばかり。

数日後、できあがった布を袋状に縫い、エーランドの海岸で採った砂を入れると……。

右がエーランド島の砂。漏斗で袋に砂を入れます。

ずっしりとした「重し」ができました。これ、織り物の縦糸を準備するときに糸が絡まるのを防ぐために使うれっきとした道具なんです。手はじめに、自分で使う道具を自分でつくる、というのがここの学校らしいところですね。風が強い島なので、書類などの上に置いておけば、窓を開けても大丈夫。今は針刺しとして愛用中です。

自分のつくったものが机にあると、なんとなく落ち着く。みなさんもどうぞおためしあれ。

リネンシードなどを入れれば、ホットピローになります。

 

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夏の終わりのザリガニパーティー

2009年9月18日 (金)

学校内をご案内、の前に、プチ・速報。

スウェーデンでは、夏の風物詩のひとつとして「ザリガニを食べる日」があります。日本でいう「土用の丑の日」に近い感覚でしょうか。本来の時期よりちょっと遅めですが、週末の夜、学校の庭でクラフタ・フェスタ(ザリガニパーティー)がひらかれました。

ドレスコードは「かぶりもの」。みんなめいめいに、ザリガニの切り紙を貼ったとんがり帽子をつくって参加です。花輪をかぶった男子も! 大事なお祭りの衣装ですから、手は抜きません。

今、日が暮れるのはだいたい19時くらいです。

タッパーに入ったザリガニが回ってきました。うわー、なかなかグロテスク。「私これ食べられないの」と言っているかわいいスウェーデン女子もいました。好きなだけお皿にとって、ディップやドレッシングなどをつけて食べます。味は、カニをすごーく淡白にした感じかな。意外とさっぱりして、泥臭さもないので食べやすい。殻の剥き方にちょっとしたコツがあって、キレイに剥けばはさみの中の身まで食べられます。

ザリガニは湖で採れるそう。一緒にエビも食べました。

宴が盛り上がってくると、5分に1回くらい、「俺やろっかなー」という雰囲気で誰かが立ち上がって、何やらごにょごにょと30秒ほど歌いはじめます。そしてその後に必ず「スコール!(乾杯)」。これ「飲んじゃおう」の合図(つまり一気飲みね)の歌なんですが、「スコール」の前のごにょごにょの歌詞はなんと100種類以上もあって、CDも本も出ているとか。「キミも覚えなよ!」と言われました。留学中に覚えられますように!

ま、お酒の好きな人はどこも一緒ですよね。

 

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エーランド島での生活スタート

2009年9月17日 (木)

一生のうちの何年かは日本以外の国で過ごしてみたい、手仕事をもっと追求してみたい、ここ数年、そんな気持ちがどんどん高まってきて、8月末からスウェーデンの南東にある細長ーい島、エーランド島での生活がスタートしました。

ここは本当にのどかなところで、あるのは広い空と、大きな木と、一面に広がる麦畑と、馬と羊、そして朝夕に「もおおおおう」と鳴く牛。空が広く、星空はプラネタリウムみたいです。あまりに空気がおいしいので、つい息を大きく吸い込んでしまう。今は使われていない風車がシンボルのようにところどころに残されています。


刈り取られたばかりの麦畑。空が広い!

こんなところに来て何をするの?と思われそうですが、ここに、小さな工房のような学校「カペラゴーデン」があります。スウェーデンの家具デザイナーの父とも言われる、カール・マルムステンが創立した学校で、今年は50周年を迎えます。生徒は全校で50~60人くらいで、「自分の手でつくったものを使って暮らすこと」を学びます。


この校舎、昔は工場として使われていたそう。

たとえば、食事はほとんどガーデニング学科がつくった野菜が中心です。そこで使う器は全部陶芸科の生徒のもの、家具はすべてマルムステンや木工科の生徒がつくったもの、テーブルクロスや椅子の張り地はテキスタイル学科の生徒のもの。4つの学科がともに関わり合いながら日々を過ごしているんです。ほかにも、日本ではなかなか体験できないことが次から次にあらわれます。
くわしくは、また1週間後に!


完全なオーガニック野菜なので虫食いもいっぱいです。

 

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