Categories: CASA BRUTUS | 千 宗屋 茶味 in ニューヨーク。 Charming New York - 2009.03.12
Asia Art Week での出会い。
自分には時々お茶の神様がついているのではないか、驕りではなく
思うことがある。今回の出会いはまさにその好例だ。
NYは3月第一週のアーモリーショウから始まり、
さまざまなアートのイヴェントで大いに盛り上がる。そのうち、だいたい
第二週からがアジアンアートフェアで、日本、中国といったアジア美術の
ギャラリーが、あちこちで展示会を開いたり、ギャラリービルにブースを
構えたりして大いに盛り上がる。クリスティーズなどのオークション会社も
この時期に中国や日本美術の大きなセールを行う。
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↑クリスティーズ日本美術セールの下見会場。
(12日)今回の目玉、春日宮曼荼羅(14c)や
北斎の肉筆浮世絵などが並ぶ。
が、今年は不景気のあおりで、メインのアーモリーでのアジアアートフェアは取りやめ
となった。それでもこの時期、アジア美術関係者は世界中からここNYCに集まり、
そこかしこのギャラリーやイヴェント会場はお祭り状態となって、初めて見た目には
充分お祭りの様相を呈していた。13日にAsia societyで行われた白隠シンポジウム
や、在東海岸の日本美術ディーラーだけが集まって催すJADA(ジャパンアート
ディーラーズアソシエーションの略)の展示会もこの時期に合わせての開催だ。
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↑Asia societyでの白隠シンポジウムで達磨図
を示し雪舟との比較を講じる山下裕二先生。
そのイヴェントのうちマディソンアヴェニューの56丁目にあるFuller Buildingで
行われたアジアアートウィークでのこと。いくつか知り合いのギャラリーを
上の階から順に覗き、最後の方でなんとなく3階にあった日本美術の
ギャラリーのブースに入った。ここのオーナーはアメリカ人の女性の
ようだが面識はない。琳派の作品などいくつか掛けられていたが、
入って真っ正面にかかる書の一行がなんだか気になった。第一印象は
「お茶の雰囲気のある字だな」というもの。大徳寺あたりの禅僧のものかと
思い近づく、見覚えのある署名。しばらくして頭が真っ白になったというか、
ある種の興奮が自分に訪れた。それは自分の先祖、武者小路千家の
8代家元、一啜斎の一行書だったからである。
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↑右が発見した一啜斎の一行。能面と
並んで壁に掛けられていた。
(キャロル・ダベンポートギャラリーのブースにて)
日本でも武者小路千家代々の道具、特に書の作品に出合う機会は
少ない。ましてここはアメリカ、表具や本紙の状態も非常に良く、
自然な時代から来る味わいが一層茶にかなった雰囲気を醸して
いた。何よりも大きすぎない、やや小振りの寸法が好ましい。
おまけに語は「啼鶯到処百花休」(ていおういたるところ、ひゃっかやすまる)
長く厳しい冬を抜け、春の到来を目前に控えてNYで今出会うのに
これほどふさわしい語句もまたない。
聞けば、やはり昨今日本で買い付けたものではなく、ニューヨーク近郊に
住んでいたアメリカ人のおじいさんで日本のアンティークを集めていた方が
亡くなって、そこの荷物に中にあったものという。
よりによって自分がNYにいるときのこの偶然の出会い。これを縁といわずに
なんといおう。誰かが常に自分を見ている、見守っているとその時に感じた。
その日は様子をみて、あくる日さっそくのこの書を予約して抑えた。
その時私には一つの思惑があった。それは10日後に控えた茶会の時
明かすこととし、胸の内に秘めておいた。
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↑14日、ジョンマービスギャラリーにて始まった
青磁を得意とされる陶芸家川瀬忍さんの個展
「華青波」のオープニングに伺う。右からアーティスト
ミヤケマイさん、私、川瀬ご夫妻。