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Categories: CASA BRUTUS | 千 宗屋 茶味 in ニューヨーク。 Charming New York - 2009.03.24

柳ギャラリーでの茶会


↑ギャラリーから茶室を望む。

コロンビア大学での一つの節目ともいうべき茶会を終えたあくる日、

やはりお世話になっているKoichi Yanagi Oriental Fine Artで

開催の、茶の湯道具の展覧会のメインイヴェントとして、NY在住の

茶の湯に関心深い方々を招いての茶会を催した。

場所は当然、畳を入れ茶室に生まれ変わったYanagi Galleryの

広間。

 
↑一席目の濃茶点前の様子。

今回の眼目は、正式の茶事のメインである、濃茶を皆さんに

差し上げるというもの。上質の茶葉を惜しげもなく使い、練り上げる

濃茶は非常に濃厚な味わいで、日本人にとってもなじみの薄いもの。

まして、いくら茶の湯に関心が深い方々といってもアメリカの方に

どこまで好まれるか、正直不安があった。が、今回の展覧会は、

柳 孝一さんの尽力で濃茶席にふさわしい格式高い道具がそろった。


↑茶席の床と点前座。

この道具たちを最高のプレゼンテーションで味わっていただくには、

やはり濃茶を呈するしかない、とのことで、この日の茶会をその仕立て

で行うことが決まった。本格的な道具、炉のしつらいで濃茶を煉ること

自体、渡米以来、僕にとっても久々のこととなる。

 床の間には利休忌を間近に控えて、利休居士の肖像を掛ける。

三千家が分立した世代の家元である、裏千家4代仙叟宗室が、

「茶人の求めに応じて」と但し書きをし、利休の辞世の偈と句を

上部に書き入れる。どのような求めがあったのだろうか。


↑利休居士画像。作者不詳。賛は
 仙叟宗室筆。瓔珞文をあしらった
 表具の中廻し裂が洒落ている。

また画像の利休の左肩半分が切られたように、画面からはみ出して 

いるのも興味深い。もともとこういう状態で描かれたのか、

あるいは長い伝来の過程で右部が傷んで除去されたのか。

こういう道具を前にすると歴史に想いがはせられる。

箱書は表千家7代如心斎。この軸の前で私が

点前をすることで、利休に始まる三千家が揃うという趣向だ。

花入は砂張瓢形。格調高い春の花の王者・牡丹が入れられ、

日本と変わらない春を寿ぐ茶席がしあがった。


↑二席目の席入りの様子。茶道具コレクター
 ペギー・ダンジガー氏が点前座を拝見をされる。

 茶席は午後2時と4時の二回。アメリカ人、日本人と

日本美術や茶の湯に堪能な方々ばかりが集まった。中には

裏千家の茶の湯を深く習っている方、教えている方も。

皆さんの視線を一身に浴びての濃茶点前は久々で、

濃さ加減や間合いなど一つずつ確かめながら、いささか

緊張を感じながら進めた。本来なら食事をお出ししてからの

濃茶であるので、夕方の2席目はやや薄めに点てて

お出ししたが、各席とも好評で、飲み終わられた茶碗がいずれも

そこにお茶が残ることなくきれいに引いてくださったことが

何よりうれしかった。


↑濃茶一啜ののちの問答。

 海外で茶の湯の紹介を続けているとついつい初心者の方が

多いので、いろいろ妥協したり、相手に合わせ過ぎてしまうことが

あるが、久々に本式の濃茶を行い自分自身気持ちが引き締まり、

自分自身の立ち位置を確認することができた貴重な経験だった。

もちろんこの感覚は、同じことを日本の茶室でやっていても

味わうことはできないだろう。


↑点前座の道具。高麗堅手茶碗、芦屋釜、
 宗旦在判小棗、利休茶杓宗旦筒など。