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第3回 渋谷古書センター 古書サンエー/Flying Books 山路 茂さん 山路 和広さん



 
profile:やまじ・しげる。1947年から続く渋谷にある実家の本屋さんを継ぎ、1972年、自身のお店「古書サンエー」をベースに、渋谷古書センターを設立。(写真上)
profile:やまじ・かずひろ。大学卒業後、カルチュア・コンビニエス・クラブ(以下「CCC」。TSUTAYA、蔦屋書店のフランチャイズ本部)に入社。その後、音楽イベントの運営に関わったことをきっかけに、ゲイリー・スナイダー、ナナオサカキらに出会い交流を深める。その経験を活かし、古書センター2Fに「Flying Books」をオープン。(写真下)
○東京都渋谷区道玄坂1-6-3渋谷古書センター ☎03-3463-8151(代表) 03-3463-8152(2F直通)

近頃、東京では代官山の蔦屋書店のようにトークショーやカフェサービスも楽しめる本屋さんや、ZINEだけを取り扱ってる本屋さんなど、それぞれテーマを持ち、新しい本の楽しみ方を提案する本屋さんができています。このブログでは、かけだしライターの私、宮本 賢がそんな本屋さん訪れて取材。本を読むこと、探すこと(=Diggin’ Books)のおもしろさを教えてもらおうという企画です。インディペンデントでかっこいい本屋さんにいる「本のスペシャリスト」に会いに行ってきます。「Diggin’ Books」毎月更新!
 
 
「1F 古書サンエー」

渋谷駅、マークシティ裏の猥雑な繁華街のど真ん中にあるのが「渋谷古書センター」だ。同じビルに別の古本屋さんが入っていたり、ライブイベントをやっていたり、と謎が多い本屋さん。前々から気になっていたこのビルに、ついに突撃してきました。

まず気になるのが、1Fと2Fに別の本屋さんがあるということなのですが、、、、、
 
茂さん
「私の家が、昔から本屋さんだったんですよ。それでいつか、古本屋のビルを作りたいなと考えていたんです。そんなときに、となりの敷地が空いたので地下1Fから4Fまですべて古本屋の「渋谷古書センター」を建てたんです。昔はすべて違う本屋さんが入っていたんですよ。現在2F入っているのは息子もお店です」
 
「2F Flying Books」

なるほど。和広さんは昔から古本屋さんになろうと思っていたんですか?

和広さん
「僕は、もともと古本という仕事に関心があまりなかったんです。でも、CCCで働いて、改めて本に関わって「古本」のおもしろさに気がついたんです。」

どういったところでしょうか? 
和広さん
「古本屋さんは本屋さんと違って、ひとつのジャンルの本をとことん掘り下げて集めることができるんです。これまで出版された書物のほとんどは古本でしか手に入らないからです。だから、品揃えの“奥が深くなる”おもしろさがありますね。」

そう感じてから、すぐに「Flying Books」を作ろうと思ったんですか?

和広さん
「すぐではないですね。CCCを退社して、フジロック等の野外フェスなどの運営を手伝っていたときに、ゲイリー・スナイダーやナナオサカキらのアーティストたちに出会ったんです。そのうち仲良くなって、一緒に旅もしました。」

すごい経験ですね(笑)

和広さん
「そういう経験もあって、アーティストを身近で感じるイベントができる古本屋さんをやりたいなって思い始めたんです。そんなときに、「古書センター」の2Fに入っていた古本屋さんがいなくなると聞いたので決断しました」

ジャンルはどちらも、アートやカルチャーが中心ですね。

和広さん
「そうですね。最初はジャンルを住み分けるべきか悩んだんですけど、ジャンルではなくテイストで切り分けてもおもしろいかなと思ったんです」

1Fは昔からこのジャンルでやっているんですか?
 
茂さん
「基本的には変わらないです。昔は海外のアート本は少なかったから美大生のお客さんが多かったですよ。それこそ、横尾忠則さんとか植草甚一さんもよく来ていましたよ。」

すごいですね。どんなものを買っていたんでしょうか。

茂さん
「彼らは、しぶとく店の中を見回して、値段に関係なく良いものを買っていましたね。昔はそういう人が多かったですよ」

それでは、それぞれのお店のとっておきの本を紹介して頂きます!

 @古書サンエー 茂さん

1st DIG 『地を泳ぐ』/藤田 嗣治

茂さん
「戦争画の作品も素晴らしく、戦後すぐにフランスに渡って作品制作を続けたりする彼のアーティストとしての姿勢が好きですね。職人的な感じがいいです」
 
 
 

 
2nd DIG『福永 武彦詩集』/麦書房
  
茂さん
「これは、駒井哲郎という版画画家の作品が入っているので貴重ですね。「麦書房」というところが出しているんですが、古本屋の仲間内みたいな感じで制作を手伝っていたので思い出深い本です。それにこの本は、岡 鹿之助が持っていた本なんです」
 
 
 
 
@Flying Books 和広さん

 
1DIG『三里塚』/北井 一夫
 
和広さん 
「この写真集は、農民たちによる成田空港建設反対運動を撮ったものでが、田んぼの中の普通のおじさん、おばさんがめちゃくちゃかっこよく写っているのがすごい。体制に対する反骨精神が全面に出ていて農村のチェ・ゲバラに見えてきます(笑)」
 
 
 

 
2nd DIG/『SHAKESPEARE NEVER DO THIS』/MICHALE MONTFORT
  
和広さん
「これはアメリカの酔いどれ作家チャールズ・ブコウスキーを撮った写真集。オリジナルプリント付きで限定326部発行されたうちの1番本です。昔から彼がなぜ女性にモテるか不思議だったんですが、これを見ると理由が分かりますね。最初は汚い酔っぱらいのおじさんにしか見えないんですけど、だんだん彼のチャーミングさに惹き込まれるから不思議です」
 
 
 

 
歴史ある「古書サンエー」と新しい本屋さんの形を見せてくれる「Flying Books」。二つのお店が同居する「渋谷古書センター」は周りの騒がしさを忘れさせてくれる不思議な場所。訪れるときは是非、両方をのぞいてみてほしい。

取材/文/写真・宮本 賢