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第10回 B&B 寺島さやかさん

profile: てらしま さやか。書店員としての経験を生かし、昨年オープンしたB&Bのスタッフに。毎日行なわれているイベントの企画なども行なう。◯東京都世田谷区北沢2-14-4 2F ☎03-6450-8272 12:00~24:00 年中無休

「本屋さんって、意外と多い」。この取材を始めて気づかされました。
住んでいる街に入ったことのない本屋がありませんか?
まずは入ってみて、できたら本屋の店主に好きな本を聞いてみると、思いもよらないおもしろい話が聞けるんです。
そこには、本屋を始めるきっかけになった本、人生を変えた本など、その本屋さんにとって大事な本が必ず存在する。
当たり前かもしれないけど、“本屋の主人の本の話”はおもしろい。
このブログでは、そんな本フリークな人たちのお店に行き、本を読むこと、探すこと(=Diggin’ Books)の魅力を教えてもらいます。「Diggin’ Books」毎月更新!

下北沢にビールが飲めるおもしろい本屋さんがあると思ったら、なんと博報堂ケトル代表・嶋浩一郎とブックコーディネーターのnumbook代表・内沼晋太郎が協業でオープンしたそう。なぜいま、本屋を始めたのかが気になります。そして『Diggin’ books』初の新刊書店さんです! 今回はスタッフの寺島さやかさんに話を聞きます。
  


  
  
 
お店はいつからスタートしたんですか?
「去年の7月です。今月で半年ちょっとくらいですね」

内沼さんと嶋さんという、本の世界にずっと関わってきたお二人が、なぜこのタイミングで本屋さんをスタートさせたのでしょうか。
「二人とも大型書店から電子書籍まで本が大好きなんですけど、中でも街の本屋さんがどんどん減って行く一方という現状に強い危機感を持っていて、その流れを止めるためにも、自分たちで“これからの街の本屋さん”をやってみよう、本を売るためのいろんなアイディアを実践して持続可能なモデルをひとつ作ろう、と考えたのがきっかけです」

街の本屋さんはそんなに厳しいんですか。
「そうですね。このお店が、個人経営の本屋さんとしては都内では数年ぶりの参入だそうです。それくらい始める人がいないんですよ。」

  
  
  
 


 
『ブック&ビア』という名前の通り、本屋さんには珍しくビールが飲めるんですよね。
「そうなんです。もともと嶋と内沼がビール好きっていう理由もあるんですけど、本屋でビールが飲めるっていうのもお客さんにより楽しんでもらえるための工夫ですね」
  
  
  
  


  
  
他にも、街の本屋さんとしての工夫はなにかありますか?
「お店に置いてある椅子や本棚の家具は全部買えるようにしています。全部に値札がついているので、気に入ったものがあったらすぐ買えるんです。
 
  
  
  
  
  


 
  
トークショーなどのイベントもよくあるそうですね。
「イベントは毎日やっています。基本は、本を作っている人のトークショーが多いですけど、他にもミュージシャンや映画監督などのイベントもあります」

 
 
 

  

なるほど。本屋さんだけど、いろいろな楽しみ方ができるんですね。
「テーブルで作業している方や、ただコーヒーを飲みにくる方など使いかたはお客さんによって違いますね。街の本屋さんとしての可能性を広げるために、いろいろなアイディアを試しているという感じです」

  
  


  
 
ブックコーディネーターの内沼さんがディレクションしていることもあるので、やはり本の置き方や選び方は普通とは違うんでしょうか?
「そうですね。旅だったり、季節だったり、東京だったりと棚ごとにテーマを作って、関連した本を並べています。棚を見れば、そこになんのテーマの本が集まっているかわかるようになってますよ。あとは、棚が家具として売れると本も入れ替えるので、流動的にどんどん変わっていきます」
  
  
  
  
 
それでは、本を掘っていきましょう。
今回は初の新刊です!
 
  
  
  

 
1st DIG 物語の作り方/ガルシア・マルケス
「小説家のガルシア・マルケスが物語を作ることについて、脚本家や女優と話している様子を収めた本です。会話がとてもおもしろいんですよ。これを読むとテレビやラジオなど、シナリオがあるものすべてに対して見方が少し変わると思います」

  
  
  
  

  
   
2 nd DIG なんとなく、クリティック1
「個人発行の批評誌です。山本精一さんのインタビュー(小山田圭吾さんとの対談も!)、数名の批評家による浅野にいおレビューなど盛りだくさんの内容です」

  
  
  

  
   
3rd DIG 随筆 衣食住/志賀直哉
「志賀直哉による日常のエッセイです。ちょっと前の小説家というと、わりと破天荒なイメージがありますが、志賀直哉は『ア暗夜行路』などの私小説で見える顔だけではなくて、こんな風に日々をすごしていたんだー、という発見があります。装丁もこじんまりしていて手に馴染みがよく、素敵な本です。」

  

街の本屋さんという、“本好きにとっての原点”をいろいろなアイディアで新しい形に変えていく『B&B』。
本を軸にして、ときには飲み屋になり、ときには家具屋にもなる。そんな入れ替わり立ち代わりいろいろな人が集まる空間に街の本屋さんの未来の形があるような気がしました。
昼からビールを飲むのはちょっと後ろめたいけど、そこが本屋さんならちょっと知的な感じがして許される気がしません?
ただ本屋で飲むビールは、妙においしいので飲み過ぎ注意。
 
 

取材/文/写真/宮本 賢