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第18回 坂野彰 (22) 会社員

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夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。 
 
このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。 
 
今月のシティボーイは、この4月から社会人として働き始めた坂野さん。坂野さんは大学4年生だった昨年12月、友人の横山諒平さんと2人で自転車によるアメリカ横断(NY〜LA)を3ヶ月で達成! 今回は彼のホームタウンである田園調布で、英語も自転車修理もできなかった(!)という坂野さんがアメリカ横断を成し遂げた秘訣に迫ります! 

『自由が丘へ散歩』
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田園調布から、坂野さんがよく遊ぶ自由が丘へ散歩。アメリカ横断を決意したきっかけについて聞きました。「大学生のうちに何か大きなことにチャレンジしたくて、ずっと自転車でアメリカ横断をしたいと思っていました。大学3年生の1月、一緒に遊んでいた親友の横山にその計画を話したら『それ、アツい!』って興味を持ってくれたんです。英語も自転車の修理もできない2人だったんですが、計画だけに終わらせたくなくて、すぐに行きと帰りの航空券を買いました」

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決まっていたのは、NYからLAを目指すことだけ。「事前のトレーニングはジムに1回行ったのと、御殿場まで試走してテントを張る訓練をしただけです。ちなみに結局一度もテントを張らなかったので意味はまったくありませんでした(笑)。どうにかなると思ってたら、出発地でNYCC(New York Cycling Club)の人に『お前ら死ぬぞ』と言われてしまいました(笑)。彼らに自転車の旅のことやルートについて教えてもらってなんとか出発できましたが、今思うと恐ろしいくらいに無計画ですよね」 チャレンジすることが大きければ大きいほど、色々考え込んでしまうものだけど、坂野さんの場合はまず行動! シティボーイは行動力が大事です。

『愛車』
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坂野さんの愛車は渋谷の『Y’s Road』で購入した〈ルイガノ〉のGORDYモデル。
「出発する1ヶ月前に買いました。当時はまったく自転車に関する知識がなかったので、お店の人に相談して決めました。山道を走れるようにマウンテンバイクにしたり、荷物の重さに耐えられるよう、キャリアと呼ばれる荷台の部分を一番頑丈なものにしたり、こだわりがたくさんつまった一台です。とはいえ、横山と合わせて40回はタイヤがパンクしました。最初は1時間以上かかった修理も、旅の終盤には2人で協力して数分で出来るようになったんです。今『Y’s Road』では僕たちと同じ自転車が大陸横断用として売られているみたいです(笑)」

『ハンバーガーと地図』 
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自由が丘に着いて向かったのは、坂野さんお気に入りの『自由が丘バーガー』。横断中もほぼ毎日食べていた大好物のハンバーガーとコーラを頬張りながら、宝物を見せてくれました。
「現地で泊めてくれたホストファミリーが、横断達成を祝って送ってくれた地図です。別れた後も僕たちの道中のブログをずっとチェックして、各地で起きた出来事や一日に進んだ距離などをまとめてくれたんです。横山と毎日交代で更新したブログはもともと家族が僕たちの安否を確認するためのもの。でも友人を中心に口コミで広がって、多いときには1日6000人もの人が読んでくれるようになりました。旅の後半はブログをいかに面白く書くかということばかり考えていました(笑)」
坂野さんのアメリカ横断当時のブログはこちら『アメリカ大陸自転車横断』。あまりに前向きすぎる彼らの、笑いあり、涙ありのブログは必見! 

『旅の思い出 ―景色―』
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坂野さん、地図を見ていたら当時の記憶がどんどん蘇ったみたいです。
「山道や砂漠、はたまた市街地まで、色んな景色を見ました。アパラチア山脈を走っていた時、なんでこんなに辛い山道を自転車で登ってるんだろうと自問自答してたことがあったんですが、突然目の前に綺麗な紅葉が広がって、この景色を見るためだったんだ! と元気づけられました。他にもゴールしたときに見たサンタモニカピアの海岸も忘れられません。この景色を見て辛いことや、苦しいことは全部忘れました」

『旅の思い出―ハプニング―』 
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旅にはもちろんハプニングがつきもの。
「Mサイズのピザを2つ頼んだら、店員さんがどう見ても大きすぎるピザを爆笑しながら運んできたことがあったり……。雨の日に走ったら転んで手を怪我したり、お尻に自転車乗り特有の『サドルソア』というおできが出来て麻酔無しで切除したりしたこともありました。救急外来に行ったのは3回。結局英語はあまり話せるようにならなかったけど、“おでき”とか“軟膏”みたいなTOEICだったら900点以上を取れるような単語をたくさん覚えることができました」
坂野さんのポジティブシンキングには頭が上がりません。
 
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「常にお気楽な僕たちでしたが、死を覚悟したこともありましたよ。氷点下の日に泥沼にはまってしまい、そのままタイヤについた泥が凍って走れなくなったことがあったんです。ヒッチハイクをしてなんとか助かりましたが、拾ってもらえなかったら野宿だったので、間違いなく命が危なかったです。あとは道中、向かい風に苦しまされました。僕たちは、東から西へ横断したんですが、風は西から東へ吹くので、多くの自転車横断者は西からスタートするみたいです(笑)」
写真は氷点下でタイヤが凍ってしまったときの様子。この旅一番の危機的状況なのに、なぜか楽しそうです。

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どんなときもまずは記念写真を撮って、常に笑っている坂野さんたち。
「『なんでこんな辛い旅をしてるんだろう』って考え始めたらきりがないし、いつも2人でくだらないことを言って過ごしていましたね。あとは辛いことがあっても『ブログのネタが出来たぞ!』と思っていました(笑)。きっといつも前向きに考えていたから、ルートもちゃんと決めず、知識もなかった僕たちが無事横断できたんだと思います。でも、到着したのは帰りの飛行機の2日前でした」
写真は相棒の横山さんが犬に噛まれたときのもの。坂野さん、写真撮影の前に助けてあげて!

数々のハプニングに見舞われた坂野さん、実は犬に追いかけられるのが一番こわかったそうです。そこで、追いかけられてこわかった犬TOP3を坂野さん直筆のイラスト付きで紹介していただきました。さすがの坂野さんも犬に追われたら写真が撮れなかったとのこと。この犬を見たら注意! 

『追いかけられてやばかった犬』
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第3位 ゴールデンレトリバー
「日本でもお馴染みの可愛らしいゴールデンレトリバーですが、如何せん体が大きい。さらに狂ったように吠えながら全速力で猛突進してくるんです。僕が噛まれたのも、相棒の横山を流血させたのもこの犬です」
 
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第2位 ドーベルマン
「警察犬としてもお馴染みのドーベルマンです。僕らは怪しい薬も持ってないし、持っているのはお尻に塗る軟膏くらいなのになんで追いかけられているんだろう、と思いながら逃げていました」

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第1位 ボクサー

「ボクサーっていう名前からしておかしいですよね。闘うために生まれてきたような顔をしているし、餌にプロテインが混ざってるんじゃないかと疑うぐらい筋肉隆々でした。ボクサーに追いかけられたのは1度だけでしたが、どんな犬よりも圧力が凄くて、一番強烈に印象に残っている犬です」

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過酷な旅の最中、一度も「横断をやめたい」と思ったことがないという坂野さん。
「相棒の横山と喧嘩したこともなかったし、『アメリカ横断してる俺ら、かっこいいな』っていつも励まし合って、どうしたらこの旅を楽しめるかということだけ考えていました。自転車に乗るのに疲れたこともあったけど、宿に帰って乗らないでいるとまたすぐに乗りたくなってしまうんです。でも、もしまたどこかの国を横断するとしたら当分はいいかな……(笑)」

坂野さんはこの4月からテレビ業界に就職。常に明るい坂野さんが作る番組は、きっと人々にも元気を与えるはず!

シティボーイにとって旅は欠かせない。『旅に出れば世界の見方が変わる』とか、『旅に出れば成長できる』とはよく聞くけど、それは旅先での行動次第。坂野さんのように旅先で死を覚悟するような経験は中々ないかもしれないけど、どんな状況をも楽しむユーモアがあれば、一回りも二回りも大きくなれる。

シティボーイは常に前向きに! 

取材/文/飯野僚子 写真/宮本賢 飯野僚子