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第26回 Zirchi Gray(25)アーティスト、デザイナー

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夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。  
 
このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

今回のシティボーイは今年アメリカからやってきたアーティストのZirchi Gray(ジリ・グレイ)さん。通称ジリさん。日本人のケントさんと、ブランド<OH SHIT!>を立ち上げ、ポップなアイテムを日々制作中! 流暢な日本語で彼の住む東北沢エリアを案内してくれました。

『OH SHIT!』
<OH SHIT!>はジリさんのイラストと、ケントさんの刺繍がポップなファッションブランド。アパレルをはじめ、ステッカーやアート作品も手掛けています。この日の洋服も自分で作ったもの!
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古着のリメイクもしているそうで、このシャツもポケットを改造。ポーズも決まってます。
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スニーカーは自分でブランドロゴをペイント。
「2099はブランドのテーマでもあります。僕が2099年の未来から来た宇宙人だとして、今作ったものがその未来にも残っているかどうか、色あせない良いデザインかどうかを常に想像しながらデザインしているんです」
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すこし皮肉の効いた、メッセージ性のあるモチーフもブランドの特徴の一つ。
「この学校が燃えているイラストのステッカーは『学校だけに頼らないで、自分の足で外に出て自分の目で物事を見て勉強しよう』という意味なんです」

そんな彼の作ったアイテムは池ノ上のセレクトショップ『CLOZET』でも展示中。さっそく案内していただきました!

『CLOZET』
この店はブランドの相方・ケントさんのファクトリーも兼ねていて、ここで<OH SHIT!>のアイテムを制作。また、下北沢界隈でブランドを立ち上げた若者の集まる店でもあり、服づくりについての情報交換をしながらそれぞれの作品を持ち寄って展示しています。
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店に入ると相方のケントさん(左)が、ジリさんが高校生のときに作ったというマスクをつけて出迎えてくれました! 写真のマスク姿がブランドのユニフォーム。

2人でブランドをはじめて1年。きっかけはNYでの偶然の出会いでした。
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「NYの地下鉄の駅にいたら、おしゃれな日本人がいて、それがケントでした。声をかけてみたら、日本で服づくりをしていることがわかって、すぐに意気投合。彼が帰国した後も、刺繍やイラストについて互いに教え合っているうちに2人でブランドを作ることになりました。基本的に僕がデザインやペイント担当で、彼が刺繍や縫製をしています」

ケントさんも「NYの地下鉄という場所柄、突然声をかけられた時は『死ぬ』と思いました(笑)」と笑っていたけど、街で偶然出会った2人がこうしてブランドを立ち上げてしまうなんてすごい。

それにしても<OH SHIT!>というブランド名にはどんな意味があるんでしょうか。
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「『Oh shit!』は日本語でいう『超ヤバい!』みたいな、何かを見たときに反射的に使う言葉。僕たちの服を見た人たちが『気になる! やばい!』って反応してくれたらいいなという思いが込められているんです」
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最近の新作がこのキャップ。今後は性別問わずに使えるアイテムを増やしていくのが目標なんだって。ホワイトキャップほしい!

『min-nano』
ケントさんとお別れして、続いてやってきたのは本誌でもおなじみの池ノ上にある『min-nano』。ここは日本で<OH SHIT!>をはじめて紹介した、ジリさんにとって特別な店。
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「店主の中津川吾郎さんはすごく優しくて、ブランドの応援をしてくれたり、街の面白い店や洋服のことを教えてくれたり、僕にとって先生みたいな存在です」
この日も、店の近所のギャラリーのこと、デザイナーのことを情報収集。
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「最近は吾郎さんの影響で自転車に興味があるんです! アメリカに帰ったら自分でカスタムしようと思っています」
ちなみに吾郎さんが今おすすめする自転車は映画『E.T.』で主人公が乗っていたようなBMX! 

そもそも、ジリさんがファッションやデザインに興味を持ったのはなぜ?
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「小さい頃、ハロウィンの仮装をするときにおばあちゃんに『バットマンのコスチュームがほしい!』っておねだりしたら『自分でつくればいいじゃない!』って言われたんです(笑)。作ってみたら楽しくて、それから服作りに興味がわきました。画家である父の影響で絵も好きになり、版画や浮世絵などの日本美術についても調べるようになりました。日本語を勉強するようになったのも、日本語の美術書を読みたいと思ったからなんです」
写真上は彼のはじめての作品! 下の写真は高校生のときに作ったTシャツで、日本に来た今でも大切に持っています。

『BOOKENDS COFFEE SERVICE』
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下北沢に場所を移し、最後に案内してくれたのは音楽好きのマスターが営む、行きつけのコーヒーショップ『BOOKENDS COFFEE SERVICE』。ジリさんのお気に入りはアメリカンコーヒー。マスターが丁寧に淹れた1杯がなんと200円!
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店に入るとさっそくマスターのコレクションのレコードに目が。
「このジャケットは『Futura Medium』っていう僕の一番好きなフォントを使っています! 未来や宇宙をイメージしたものが好きだから、自分のデザインにもこういうフォントをよく使います」
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そのままレコード談義に……。店名の由来はサイモン&ガーファンクルのアルバム『ブックエンド』ということを知り、ジリさんは大感激! このアルバムは小さい頃おじいさんと一緒に聴いていた1枚らしい。

ジリさん、この店が好き過ぎて、自分のノートにも店のイメージキャラクターのイラストが。
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「このノートはいつも持ち歩いているものです。もともとHIP HOPが好きだから、曲を聴きながら歌詞をイメージして絵を描くことが多いです」
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日本の職人文化が好きだというジリさん。
「一つの作品に情熱を注ぐ日本の職人たちは本当にかっこいいです。その文化は<コム・デ・ギャルソン>のような現代のブランドにも受け継がれていると思います。僕ももっと多くの人に自分の服を手にとってもらえるように頑張りたいし、日本のアーティストたちと交流を深めて日本独自の『裏原』のようなシーンを復活させたいです!」

最後に、ジリさんの好きな四字熟語を教えてくれました。「一行三昧」。一つのことに専念するという意味の言葉で、日本でデザイン活動に励む彼にぴったりの言葉だ!

<OH SHIT!>のwebショップはこちら!
www.ohshit2099.com

写真・文 飯野僚子