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第27回 特別編 加藤洋平さん(28)『ユニクロ 新安城店』スタッフ

加藤さんメイン

夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。  

このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

今回は「シティボーイを探せ!」特別編。東京から遠く離れた愛知県岡崎市の『ユニクロ 新安城店』でバリバリ働く、バスケボーイの加藤洋平さんが27人目のシティボーイ!

ユニクロといえば、ニューヨークやパリ、ロンドンにも店舗がある、グローバルなアパレルブランドといったイメージ。で、なぜ今回ユニクロのスタッフなのか? というのも、本日発売の過去3回の部屋特集をまとめたMOOK『部屋とシティボーイ』にて、ユニクロスタッフの部屋を紹介しているんです。その世界各国のスタッフをリサーチしているなかで、いい笑顔の加藤さんを発見。実は彼の経歴が面白い。地元採用のスタッフかと思っていたら、なんとアメリカ採用。言わばスタッフの逆輸入版!?  今年、偶然にも地元・岡崎からもほど近い店舗に配属されることになった彼のバックグラウンドを少し探ってみました。

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さてさて、どんな国際派シティボーイが出迎えてくれるのかと思っていたら、駅まで迎えに来てくれた彼はまさかのジャージ姿。しかも、胸に大きく施された“W”の文字。体格もいいし、もしや早稲田出身のラガーマンかと思いきや、返ってきた答えがまさかのワシントン大学! 

「ペンタゴンとかがあるDCの方じゃなくて、シアトルの方。シティボーイには馴染み深いポートランドの上ですね。同じワシントン州にあるワシントン州立大学と混同されがちなんですが、僕が通っていたのは、ボブ・サップも卒業生に名を連ねる方。1861年創設の歴史ある大学なんです。そもそものきっかけは英語を勉強するためだったんですが、バスケにハマってしまって……」

19歳の時に渡米。6年にも及ぶアメリカ暮らしでは、英語よりも何よりも頭に残っているのは“バスケ”の記憶。「ここはとっておきですよ」と案内してくれた“趣味”の部屋には、“地元”シアトル・スーパーソニックスのユニフォームを始め、マイアミ・ヒート、ニューヨーク・ニックス、シカゴ・ブルズなどのNBAジャージがずらり! 中にはシアトル・ローカルらしくNFLのシアトル・シーホークスのジャージも! 

右から4枚目、シアトル・スーパーソニックスのジャージには、バスケサークルの友人からの寄せ書きが!
右から4枚目、シアトル・スーパーソニックスのジャージには、バスケサークルの友人からの寄せ書きが!

「小・中とバスケ部。高校でラグビーに浮気しちゃうんですが、ずっとNBAは好きで追っかけていて。留学を機にバスケの本場に行くんだから、せっかくだからバスケをやりたいなと軽い気持ちでサークルに入ったら、思いのほか夢中になっちゃって。入ったサークルはほぼ日本人のみ。PBLリーグっていうアメリカ独立リーグのワシントン地区に所属していたんですが、周りは“ジャバー”みたいにとてつもなくデカイやつや、“シャック”のような筋骨隆々の黒人選手ばかりで、まさに井の中の蛙状態。こんな奴らと対等に闘えるのかと思いつつも、自分たちの力がどこまで通用するのかってガムシャラにやっていたら、まさかの地区優勝! これには僕らもびっくりしちゃいました」

まさにユニクロの田臥勇太! 体格差も、アタリも激しい、アメリカンスポーツでナンバー1を取るとは! 正直スゴい。もちろん、その時のトロフィーは、部屋のどこからでも眺められるように、部屋の一番いい場所に鎮座。ソファーにドカっと腰掛けて、トロフィーを眺めてニンマリすることも多々。バスケに夢中で過ごしたアメリカ時代を時折思い出すのだそう。そして、棚にはスニーカーショップのディスプレイのように並べられたバッシュがあるのもバスケボーイらしいね!

「バッシュは実は観賞用(笑)。もったいなくて、履けないんです。だから、タグもそのまま。ジョーダン1カラーのダンク、ジョーダンブランド、〈ナイキ〉のコービー・ブライアントモデルなど、どれもアメリカで購入したものですね。日本よりもアメリカの方がレアなバッシュが手に入りやすいんです。マイケル・ジョーダンの後継者、デリック・ローズをとくにリスペクトしていて、〈アディダス〉の彼のシグネチャーモデルは家宝ですね。埃がつかないようにマメに磨くのも、もう日課になっちゃいました」

お気に入りのデリック・ローズモデル。値札も付けっぱなし。
お気に入りのデリック・ローズモデル。値札も付けっぱなし。

英語を勉強したくてアメリカに渡ったのですが、バスケというアメリカが生んだ偉大なスポーツに熱中することで、さらにこの国の虜になってしまったそう。もっとアメリカのことを知りたくて、勉強やバスケの試合に没頭しつつ、ルート66を使ってアメリカ横断を敢行しちゃったというんだから、その行動力には恐れ入った!

「サンフランシスコからシカゴを経由して、ニューヨークへ。通過した州ごとに州の形を象ったマグネットを買って、ひたすら車を走らせました。とにかくニューヨークが遠くて、全然到着する気がしないんです。シアトルに住んでいたから気づかなかったのですが、アメリカはやっぱり広いんだなぁと。この旅を通して再確認。そして、さらにこの国の魅力に取り憑かれた感じ。できることなら、ここで就職したいなと思うようになったのもこの頃。マグネットは、今は冷蔵庫に貼り付けてますね。まだ全部の州が揃ってないので、全ての州を制覇するのが密かな夢(笑)」

冷蔵庫の”州”のマグネット。アメリカの形に合わせて、貼り付けてるのもオシャレ。
冷蔵庫の”州”のマグネット。アメリカの形に合わせて、貼り付けてるのもオシャレ。

住んでみてアメリカこそ第二の故郷、ここで働きたいと思うようになった加藤さん。自分にできる仕事は何かないかと探していたときに、ふと目にしたのがユニクロの求人。これがアメリカで遭遇した、第二の運命の出会い。

「ユニクロの洋服は昔から好きで、普段も着ていたから、これだ!と思い、即応募したら採用。アメリカで一旗あげたるかと思っていた矢先、あれよあれよという間に地元・岡崎に戻って来てました(笑)。今度、シアトルにユニクロの店舗が出来るらしいんですよ。いつかそこで働きながら、またバスケで汗を流す日々を送るのが将来の夢ですね」

岡崎から遠く離れたアメリカで、バスケとユニクロという人生のキーワードを見つけた加藤さん。もしかしたら、次にシアトルの地を踏んだときに、また新たな人生のキーワードが見つかるのかも。そんなさらに夢中になれることを見つけた暁には、シアトルの街をぜひ案内してもらいたいね。シアトル・スーパーソニックスの実況観戦込みで!

写真/川添文子 取材・文/豊田耕志