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第33回 海堀弘太 学生


夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。
シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。  
 
このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

今月のシティボーイは早稲田大学の大学院に通う海堀弘太(かいほり・こうた)さん。
ポパイの彼との出合いは本誌『ジャズと落語』特集で取材した高田馬場のジャズクラブ『intro』でのセッション。ベテランに混じってピアノとトランペット両方をこなす姿がやけにかっこよく、これは詳しく話を聞かない手はない! というわけで今回は高田馬場でジャズボーイの一日に密着してきました。

まず案内してくれたのは、早稲田大学『モダンジャズ研究会』(通称ダンモ)の部室。ここはジャズベーシストの鈴木良雄氏や佐藤泰彦氏など多くのプロが所属していた1960年創立の歴史あるサークルで、OBである海堀さんは現在も練習場所として使用しているんだとか。ちなみにあのタモリさんもOBなんだって!

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グランドピアノとドラムセットが置いてあって、部室というよりスタジオ!
「かなり片付いてないけど」とのことですが、それがまたいいね。
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部室ではまず彼がダンモに入ったきっかけについて。そこにはちょっとしたドラマが……!
「ジャズを聞き始めた中学の頃、地元の京都には同世代のジャズ仲間がいなかったのでネットでジャズの友達を作って交流していました。その内の一人が東京の有名なジャズサークルに入ることになったと教えてくれて、それがこのダンモ。その友人と知り合って4年、大学入学してついに対面できたときは嬉しかったです! 現役時代は月・水・金の週三回、この場所にセッションと練習で集まっていました。ダンモはコンボ・ジャズという少人数編成のバンドスタイルで演奏する会。早稲田にはニューオリンズ系、ビッグバンド系、モダンジャズ系と他にも3つのジャズサークルがあって、その人たちもセッションに遊びにくることがあるんですよ。他にも学内でのライブや、新宿にある『J』というお店での年に数回のライブ演奏も重要なイベント。『J』はタモリさん含めダンモのOBが出資して出来たお店で、ご本人に演奏を聞いてもらったこともあるんです! お話は緊張してできなかったけど……」

サークルの現役時代から、自主的に高田馬場『intro』『コットンクラブ』といったジャズクラブでのセッションをしていた海堀さん。大学院生としてインターネット通信の整備について勉強をする現在も、ジャズが生活の中心。そこまで夢中なジャズとのそもそもの出合いは?
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「3歳からピアノを習っていてもともと音楽が好きだったけど、ジャズを知ったのは中学のとき。吹奏楽部でトランペットを始めて、ジャズってどんな音楽なんだろうって気になっていたらピアノの先生がジョン・コルトレーンの『ブルートレイン』というアルバムのCDを貸してくれたんです。まさにジャズ! な雰囲気でかっこよくて、借りた直後は1曲目の『ブルートレイン』と2曲目の『モーメンツ・ノーティス』だけエンドレスリピート。1ヶ月でipodの再生回数はそれぞれ800回くらいになってました(笑)。当時はアドリブまで含めて全部鼻歌で歌えました! 」


コルトレーンがジャズ初体験の海堀さん。それからどんどんジャズにハマっていった。
「ジャズを好きになったきっかけのジョン・コルトレーンと、ビル・エヴァンスはずっと好きです。これはビル・エヴァンスの『Sunday at the village vangurd』というお気に入りの1枚。彼はクラシックに大きな影響を受けた、繊細で美しいハーモニーが特徴のピアニストです。
これはちょっとマイナーな作品だけど、このアルバムのベーシストはこれが最後の録音になって交通事故で亡くなってしまったという話があったりして好きです。最近のブームで言うとピアニストの作品でしょうか。最近はアーマッド・ジャマルの『クロスカウントリー』とマルグリュー・ミラーをよく聴きます。アーマッドはアレンジのセンスがすごくて、マルグリューはヴォイシングという和音の抑え方がすごい綺麗なんです。音源だけじゃなくてライブも2週間に1回は観に行きます。最近はマイルスデイビスのバンドにいた唯一の日本人、ケイ赤城さんのライブと、ベーシスト、ジョン・パティトゥッチの来日がヤバかったです!」

興奮気味で話しながらも早速練習開始。演奏してくれたのは本誌でタブラ奏者のユザーンさんも紹介してくれた『Someday my prince will come』と、『Over the rainbow』。譜面を見ずにアレンジしながらさらっと演奏する姿がかっこいい!


「今のピアノのレパートリーは50曲くらいでしょうか。都内のジャズクラブでセッションに参加すると弾いたことのない曲を演奏することもあるけど、譜面をちょっと見て、初めて会った人と相談して演奏してみるのは楽しいです。ジャズクラブにはじめて行ったのは高校1年生のとき。地元の京都から母親に付いてきてもらって天満橋『バンブークラブ』など大阪のジャズクラブの夜のセッションに参加していました。その頃に東京でジャズをしている人たちと出合って高田馬場に『intro』というお店があると教えてもらったんです。思い切って行ってみたらみんなフレンドリーで居心地がよくて。実は東京の大学に進学したのも『intro』に通いたかったからなんです」
文字通りジャズとともに生きている海堀さん。彼のジャズ生活を支えると言っても過言ではない『intro』に場所を移してセッションの様子を見学させてもらいました。



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「最低でも週2回はここに来ます。大学に入学してからはお金をいただいてセッションに参加しています。今サックスを演奏している店長の井上さん(写真下、中央)はモダンジャズ研究会のOBでもあって僕の先輩なんです! その他のお客さんもみんな仲良し。年齢関係なく、こうやって知り合いが出来るのはジャズだからこそだなと思います。ここで知り合った方が声をかけてくえて他のジャズクラブでライブをすることになったり、本当に大切な場所です」

ジャズのセッションは入店時に名前と担当楽器を伝えて店長がランダムに編成を組むスタイル。お話をしていたら早速海堀さんの番が回ってきました!
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まずはピアノを担当。常連に初めて会ったお客さん、全員とアイコンタクトをしながら即興で演奏する様子が本当に楽しそう。ピアノソロでは客席から歓声があがる場面も。

息つく暇なく次はトランペットを。
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「ジャズを好きになった当時は聴くのはトランペットの曲ばかり。でも、中学の頃はトランペットを始めたばかりで、それでジャズをやってみようとも思っていませんでしたね。高校には吹奏楽部もなくてトランペットからは完全に遠ざかっていたんですが、半年前に久しぶりにトランペットを手に入れる機会があったので吹いてみたら、思いのほか楽しくて再開したんです」
とはいえその実力は他のお客さんも認めるほど。穏やかな海堀さんからは想像もつかないほど? 力強いけど丸みのある音が響いていました。

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年齢を越えて仲間を見つけ、ジャズ漬けの毎日を送る海堀さん。
「所属していた『モダンジャズ研究会』のOBには今のジャズ界を担うミュージシャンがたくさんいて、そういう先輩方を見ていると僕もジャズ一本で生活したいなと思います。とはいえ、ミュージシャンとして生活するのは簡単なことではないから、学業に専念したほうがいいのかなと迷うこともあります。それでもジャズばっかりの生活がやめられなくて教授に呆れられているんですが……(笑)」

“大人”な世界だと思っていたジャズの世界にこんなに生き生きと活躍するジャズボーイがいたなんて! 『intro』で彼の演奏を聴けばジャズがもっと身近に感じられるはず!

彼の出演情報はこちらから!
http://www.intro.co.jp/intro/