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第34回 ブランドン(28)

夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。
シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。  
 
このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

今月のシティボーイはアメリカはオクラホマからやってきたデザイナーのブランドンさん。2013年からファッションブランド<ラクトス>を立ち上げて、現在は日本を拠点に活動中。
今回は彼の住む高円寺にお邪魔してきました!


<ラクトス>はブランドンさん自身のポップなイラストが効いたアパレルや小物の制作、古着のリメイクを手掛けるブランド。高円寺の古着屋『ハヤトチリ』をはじめ、大阪やシンガポールのセレクトショップにも展開。今年青山の国連大学前で始まった古着のフリーマーケット『RAW TOKYO』や原宿カルチャーを発信するイベントでショーを行うなど、すごい勢い!

まずは行きつけのベトナム料理『チョップスティックス』へ。
細い路地にあるビルの中にお店はあります。隠れ家!


頼んだのは「豚チリ飯」(800円)。甘辛いソースが鶏の出汁の炊き込みご飯と高相性。たっぷり入ったネギの薬味もいい仕事をしていて、ヘルシー!
ブランドンさん、食事にはかなり気を使っているそう。
「牛乳アレルギーということもあって、食べられるものが限られているんです。だから乳製品をあまり使わないアジア料理は大好き。僕のブランド<ラクトス>は牛乳に入っている乳糖という意味なんです」

ポップでちょっとキモ可愛いアイテムが揃う<ラクトス>。彼の牛乳アレルギーからつけられた名前の通り、一つ一つのアイテムには彼自身の経験や思い出が詰まってる。

「シーズンごとに発表する作品はどれも自分の体験から生まれたテーマ。例えば2016AWは“アレルギー”。写真のイラストみたいに、牛乳を飲むと僕の顔は真っ赤になるんです。自分にとってマイナスなことをポップに前向きにとらえて表現したくてこのコレクションを作りました」
作品の通り、自身もポップで明るいブランドンさん。自分の経験を表現するグラフィックは日本の文化から影響されてるんだとか。




「小さいときからゲームに出てくるマリオなど、日本のポップなグラフィックが大好きでした。以来日本のカルチャーにずっと興味を持っていて、高校で洋服を好きになってからは雑誌の『fruit』やストリートスナップのサイトを見て原宿ファッションの研究をしていました」
といって見せてくれたのは彼のアイデアノート。分厚い! アレルギー用の薬から思い出の写真までなんでも貼付けてます。




「アイデアノートは学生の頃から持っていて、ブランドを始めからの3年ほどでも8冊くらい溜まりました。東京の街で気になったこと、その日感じたこと、マスクなど(笑) なんでもここに記録しています! ショーに向けたコーディネートも、実際の服を使って組み立てずにイラストで書いて考えをまとめることがほとんど。手で描くと想像が広がるんです」
ノートにはブランドンさんのプライベートも仕事のこともつまっていて、まさに分身? 

そんな好奇心旺盛のブランドンさんが東京に住んで気になるのは文字とファッションのこと。日本人の僕たちにとっては普通でも、アメリカ人の彼にとって日本の文字と服装は特徴的みたい。ブランドンさんのお気に入りは『ス』!


「カタカナの“ス”が好き過ぎて、自分で靴下まで作ってしまったんです(笑)。 綺麗な形。あとは“見”もタコみたいに見えてお気に入り! カタカタやひらがな、漢字を組み合わせるのも独特。日本のファッションも個性的で面白いです。初めて原宿に行ったときは意外にシンプルな服装をしている人が多くてびっくりしましたが……(笑) それでも日本の人はレイヤードが上手。おしゃれとしての重ね着はアメリカの人にはない発想だから興味深いです。あと、色んなテイストを組み合わせるところも特徴だと思います。そういう日本独自の『ミックス』という感覚は僕のブランドのキーワードにもなっているんです」

日本人の服装に影響を受ける彼は、自身もミックスコーデが大好き!


「キャップと上着はアメリカの古着屋さんで見つけました。中のブラウスは高円寺の古着屋で見つけた女性もの! ミリタリーのライナーとガーリーなフリルのミックスです! ジーンズはお父さんのクローゼットを漁って譲ってもらったもので、お気に入り」
かなり上級者のミックスコーデ。高円寺の街によく映えます。

次に案内してくれたのはお気に入りのドーナツショップ『floresta』。

ここのドーナツは豆乳を使用、彼も安心して食べられるし、素朴でほっとする味わい。おやつを食べながら話題は、最近一時帰国したときの話に。



「今実店舗で<ラクトス>のアイテムが見られるのはアジアだけ。もっと色んな人に作品を見てもらいたくて、9月に地元のオクラホマでイベントを開催しました。次の春夏のアイテムを地元の若者に着てもらってパレード。家族や友人だけじゃなくて噂を聞いた近所の人たちが続々と集まってきて予想外に盛り上がりました。素直に嬉しかったです」
来る2017年の春夏の新作テーマは、ずばり『実家』。



「ポロシャツをリメイクしたり、桃の収穫の時に使うお腹にポケットのついたベストを日本の帯で作ったり、僕のティーン時代の思い出から作ったコレクションです。ポロシャツは高校時代に流行ったアイテム。体格のいいイケてる男の子が着ていて、貧弱な身体をした人には難しい服で……そんなちょっと苦い思い出を表現したくてわざと大きな肩パッドを付けてデザインしました。この襟部分にも日本の帯を使っていて、色んなところでミックスを意識しています」



「パレードをしたときにルックも撮影したんです。場所は地元のファミリーレストラン。友人のカメラマンに協力してもらって、モデルも素人。webショップで<ラクトス>のアイテムを買ってくれていた男の子にもコンタクトをとって、モデルをお願いしました。写真の彼なんですが、今日本に留学に来ているんです! ちょっとは日本に興味を持つきっかけになったのかな? 嬉しい!」

ブランドの根底に自分の体験が強くあるから、地元に戻って家族の前で作品を発表出来たことはかなり感動的だった様子。


「新作はアメリカの高校では欠かせないプロムをテーマに、フリルなどを使ったドリーミーな服を作る予定。70年代、80年代のださいけどキラキラした感じを表したいです。プロムがキーワードになっているホラー映画『キャリー』が大好きで、そういうホラーの要素もいれたい! 参考のために同窓会の案内を実家から掘り出してきました。僕のときのプロムはヒップホップがどすどす流れていて、正直微妙だったな……(笑)」

後日、<ラクトス>のアイテムが置いてある古着屋『ハヤトチリ』にも案内してくれました。店主のごっちゃんさん自身、古着のリメイクをしていて、インパクトのある<ラクトス>のアイテムがすっかり馴染むほど? 個性的な洋服が揃います。ブランドの活動を応援してくれる、彼にとって大切な場所。


「高円寺には古着屋はじめ、日本やアメリカ、国籍問わず僕の好きな90sのポップなアイテムに影響を受けた店や小さい個人の店がたくさんあって、僕の好きな『ミックス』を一番感じられる東京の街。この『ハヤトチリ』は日本に住む前から旅行の度に訪れていました。ブランドを立ち上げようと思ったときもごっちゃんさんが作品を見て『これ、面白いよ!』って励ましてくれて……彼はとても大切な先輩です」
慣れない日本での生活も、ご近所さんの存在があれば心強い。彼らの応援を受けて、最近もイベントに向けた準備に忙しい毎日。



「10月29日に渋谷で開催される『ポップンキュート』というイベントに参加することになりました。90年代に流行った“デコラ”とコラボしてアイテムを作り、ランウェイをする予定です。ライブペインティングもするので楽しみ! こうやって色んなアーティストと集まって活動するのが今一番刺激的です。いつかアメリカ、特にNYみたいに色んな人がミックスされた場所でもこういうチャンスがあるといいな……」
ますます発表の場を広げるブランドンさん。とはいえ、やっぱり普段着として<ラクトス>のアイテムを活用してくれるようになるのが彼にとって一番嬉しいこと。
www.shoplactose.comでもアイテムが購入できるからチェックしてみよう!
インスタグラムもあるよ(@lactoseintolerart

文・飯野僚子