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第36回 寺島和貴(21)

夢中なことがあったり、叶えたい目標があったり、誰にも真似できない自分だけの“何か”を持ってる人ってかっこいい。
シティボーイってどんな人のことを言うの!? という問いの正解は決して一つではないけど、彼らが共通して持っているのは、そういう自分の興味に対する強いこだわりなのではないでしょうか。  

このブログでは、毎回1人のシティボーイに密着取材。彼らのホームタウンを巡りながら、シティボーイの実態を調査していきます。

SuchmosやD.A.N.など、最近私と同世代である20代のアーティストが活躍していて、曲がイケてるのはもちろん、その同世代っていうところにさらにグッときている。いろんなメディアで目にするから見かける度にチェックしていたら、『LAYER』という自費出版のインタビューをまとめた雑誌を知った。Suchmosのヨンス、never young beachの安部勇磨、dutch_tokyo、SANABAGUN.の高岩遼、D.A.N.の桜木大悟と美味しいとこ取りすぎる内容で、一体どんな人が作っているのか気になっていたらその正体は22歳の大学生だった! 

それが今月のシティボーイである寺島和貴さん。今は神奈川県に住んでいるそうだけど、待ち合わせたのは三軒茶屋。

まずは彼の行きつけの喫茶店『Seven』でその理由を聞きました。



「通っていた高校がこの近くで、卒業後も20歳になるまで三軒茶屋と学芸大学の間に住んでいたんです。高校の頃までバンドを組んでいて、連日近所のライブハウスに通ったり、スタジオで練習したり……ここはすごく思い出深い街。僕が昨年の夏に発売した雑誌『LAYER』で取材をした人たちに出会ったのも、その頃でした。高校の時はお金がなかったから、料金の安い休日の早朝にスタジオを借りて練習をしていたんですが、そこで夜勤のバイトをしていたのが葛西くん(Suchmosのボーカル、ヨンス)。いつも彼が帰る頃に僕がスタジオに到着して挨拶をするのがお決まりでした」

大学に入り、演奏する側を“卒業”した寺島さん。アーティストに話を聞いて発信する立場として、音楽との関わり方を変えたのは大学の授業がきっかけ。

「大学2年生の時にインタビューの方法を勉強する授業を受けたんです。そこで今は解散してしまったバンド『恋する円盤』のメンバーで友人でもある大塚くんに話を聞いて、インタビューに興味を持ちました。Suchmosのようなバンドを中心に、インディーミュージックが注目されはじめたのもその頃。色んなメディアで彼らの記事を見かけるようになったけど、どれも彼らの外側の話しかまとめられていなくて、どこか愛がないようにも感じてしまって……今のこの音楽の盛り上がりは一体どういうところからきているんだろう? という疑問を自分なりに噛み砕いてみたいと思い、話を聞いて雑誌にまとめることにしたんです」

自分の純粋な興味から生まれるものほど強いことはない。他にはない記事を作るためにも、インタビューの方法にはかなりこだわったという。


「彼らの自宅だったり、行きつけの店だったり、ゆかりのある場所で話を聞くように心がけたのですが、その中でもできるだけ机が低くてソファーがあるところを選んでいました。重心が低くなると、どうしたって姿勢が前のめりになるから、話を聞く側と話す側という関係じゃなく、話し合いのような雰囲気になるんです」
もともと知り合いだった人といえども、改めて話を聞いて学ぶことがたくさんあったみたい。
「dutchくんは自分自身のマネジメントの仕方に学ぶことが多くて。『目標となるゴールを決めてそこに至るまでのステップをしっかり計画すれば達成できないことなんてない』というようなことを話してくれたんですが、だらしなさすぎる自分には耳が痛すぎました(笑)」

音楽のことだけでなく、その人の生き方や考え方についても深く掘り下げたいと思う寺島さんは雑誌のデザインにも工夫した。

「これもdutchくんの例ですが、彼は映像制作を手がけていてデジタルのイメージが強いので、フォントをゴシック系にしたり、紙も他の人より光沢があってツルツルした質感のものを選んだり。話を聞いた5人それぞれ、デザインをまったく違うものにしたんです。1冊にまとめるのではなく、5冊それぞれに分けたのも1人1人のパーソナリティをちゃんと立てたいという思いから。全部自費で作ったのでかなりお金を使ってしまって、気づいたら貯金がなくなっていました(笑)」

というわけで昨年の秋から新しいバイトを始めた寺島さん。その場所として選んだのは渋谷にあるライブハウス『WWW』。

「ずっとバンドの音楽に興味を持っていたけど、雑誌を作って自分なりに区切りがついたのか、クラブミュージックのような違うジャンルの音楽にも興味を持つようになりました。歌がなく、頭じゃなくて体が先に反応するというのが自分にとってはすごく新鮮だったんです。WWWはバンドミュージックだけでなくクラブミュージックもフラットに扱う、東京での音楽の文化を発信する中心的な場所。ちょうど働き始めたころに2号店もオープンしたのもあって、ここで働くことで音楽と人との関わりを深く勉強できると思いました。なによりお金もないし、この半年はバイトづけです!(笑)」

勉強もバイトもとにかく全部が音楽づけの寺島さん。そんな彼のオールタイムベストなアーティストは?

「クリストファー・オーウェンスが大好きです。彼は歌詞がやばい。ものすごくプライベートな恋愛のことを歌ったりするんですけど、慈悲深くて、常に寄り添ってくれてる感じがして、くらっているときに聞くと思わず泣いてしまいます。一昨年に出したソロアルバムの3枚目はネット配信の音源に、CD、レコードと全販売形態をゲットしました(笑)。『ホステスクラブウィークエンダー』で来日したときにもらったサインは家宝です。彼はきっと好きすぎてインタビューできないです。にやにやして何も言えないと思う(笑)」

アイドルのファン並みに音楽にお金を費やす寺島さんが唯一(?)それ以外にもお金を使うのが古着。次に案内してくれた古着屋『zig』は彼のワードローブのほとんどを占めるお気に入りの店。

「ここはオープンから1年半くらいの店なのですが、D.A.N.の桜木くんが教えてくれて開店当初から通っています。『LAYER』も店の一角で販売させてもらった特別な場所でもあるんです。いつも来るたびに欲しいものがあってまたお金がなくなります……」

といって早速店内を物色。この日はセーターが気になる様子。

「普段スウェットが多いので、たまにはセーターも着てみたいです。それにオーバーサイズなら中にスウェット着てもいい感じですよね」
というわけでちゃっかり購入。バイト、ますます頑張らないとね!

最後に案内してくれたのは、これまたD.A.N.の桜木さんを撮影したバッティングセンターへ。彼にとって桜木さんはかなり特別な存在のようだ。

「高校生のころ組んでいたバンドは(桜木)大悟くんが当時組んでいたバンドに影響されていたんです。『LAYER』で彼の音楽に対する考え方を改めて聞けて嬉しかったですね。三軒茶屋は彼のホームタウンでもあるので、僕が行く場所と彼の行きつけが被っていたりもするんです」

ここは、もやもやしたときに遊びにくる場所でもあるらしい。だからか? 話題は、目前に控えた就職活動についての話に……。

「雑誌作りにも興味があるけど、同世代のアーティストにインタビューをしてからは音楽をダイレクトに応援したいと思うようにもなりました。音楽ってなくても生きていけるけど、僕みたいに音楽に人生を狂わされてる人がたくさんいて……人間と音楽の関係を自分なりに探していきたいです。これから本格的に就活がはじまるんですが、今はレーベルが第一志望です」

音楽という軸を絞ってその関わり方を模索する寺島さんだけど、大学の間は引き続きインタビューの活動を続けるんだって。

「今は次の雑誌を作る計画中です。今度は前回のようなバンドという括りではなくて、純粋に音楽という存在はなんなのかをテーマにしたいと思っています。周りの友人に大事な作品を選んでもらって、その人のパーソナリティと作品の関係を自分なりに考察する予定。まだまだ準備段階なので早く進めないとです」


第2号も楽しみにしてます!