マガジンワールド

【Vol.23】ワキ汗の治療

初夏のような暑い日も増えて、そろそろ汗が気になる季節になりますね。人間ですから汗をかくのは当たり前ですが、汗染みで着たい洋服が着られなかったり、電車のつり革で人目が気になったり…。そんな悩みをもつ人に朗報です。ワキ汗を抑える治療が、病院で健康保険を使ってできるようになっています。

まずは、次のチェックを行ってみてください。
□両ワキに同じくらい汗をかく
□ワキ汗で生活に支障がある
□週1回以上ワキ汗を多くかく
□ワキ汗は25歳以前からだ
□同じような症状の家族がいる
□睡眠時はワキ汗がひどくない

以上の項目に2つ以上当てはまって、原因のわからない過剰なワキ汗に半年以上、悩んでいる人は、ワキの下に異常な汗をかく「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」かもしれません。

「仕事で大事なプレゼンになればなるほど、汗が異常に出始め、意識するともっと出て困る」「汗の臭いが、周囲の人に不快感を与えているのでは…と、引っ込み思案になって人間関係がうまくいかない」など、メンタルが及ぼす影響が多いことも「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」の特徴のひとつです。必要以上に多くのワキ汗が出て、“日常生活で困っていたら”、病院で治療するのもひとつの方法です。

病院では、まず塗り薬が処方され、これで7~8割の人が改善します。これまでは、この塗り薬で効果がない人には神経を切断したり、汗腺を除去したりする手術が行われていました。ところが最近は、こんなハードルの高い手術という治療でなくても、ワキ汗の治療ができます。

ボツリヌス療法(「ボトックス®」注射)という方法です。ボツリヌス菌がつくる天然のタンパク質から精製された薬(ボトックス®)をワキの下に直接注射します。ほとんど副作用もなく1回注射すると、4~9か月持続するので、年1~2回の治療で汗を抑えることができます。

masuda_vol23_1 ボトックス®をワキの下に直接注射することで、交換神経から汗腺への刺激の伝達をブロックし、発汗が抑えられる仕組みです。ただしこの治療法では汗の量は抑えても、ワキガ「腋臭症(えきしゅうしょう)」の臭いの原因を抑える治療効果はないとか。

masuda_vol23_2 このボトックス®注射が健康保険で1回約2万8千円(3割負担の場合。診療費は別)で行えるようになりました。ワキ汗治療のボトックス®注射は、世界中で広く普及している治療法で、80か国以上で認可されています。

日本でもこれまで、まぶたや顔面けいれん、肩や首の筋肉の張りによる異常姿勢、脳卒中に由来する手足のつっぱりの治療としても使われてきたものです。ちなみにこのボトックス®注射は、美容のシワ取りで知られているものと同じ。

自分自身では、腋窩多汗症か、腋臭症かは、判断しにくいところもあります。また、腋窩多汗症を治療することで、臭いが軽減することはよくあることです。病院でぜひ、相談してみてください。皮膚科で治療しているところが多いです。

masuda_vol23_3 ワキ汗のボトックス®治療を行っている全国の医療機関は、「ワキ多汗症サイト」でも紹介されています。参考にしてみてください!