マガジンワールド

【Vol.6】ときどき、正座のススメ

陸上・五輪選手の末續慎吾さんや元野球選手の桑田真澄さんなどトップアスリートがトレーニングに古武術の身体操法を取り入れていると話題になっている頃、同じくトップアスリートの体のケアをしているトレーナーの人から「今熱いのは、空手ですよ」と聞いた。

それは気になる!

ということで、早速教室に参加した。
教室には、水泳や野球、ラグビー、アメリカンフットボール、ゴルフのなどのスポーツ選手のほか、教員や企業の役員なども参加していた。

そこ学ぶのは、空手の技ではなく、人がもっている本来の身体能力を引き出し、それを体感する、というもの。
伝統的な日本の正しい「型」を行うことで、身体が整い、精神も強くなるということを体験する。
中でも印象的だったのは「正座」だ。
例えば、正座をしていない人と正座をした人がふたり立っているとする。
正座をしていない人の肩を少しの力で手で押すと、体はぐらついてバランスを失ってしまう。
それが、正座で礼をしてから立ち上がった人を同じように手で押すと、体はぶれずにどっしりと立つことができている。

正座をして礼をする、という動きの中で、身体の気が整うのだ。

ふたりの違いは、バランスだけではない。佇まいが明らかに違う。
正座をした人は落ち着いていて、少しリラックスしているというか、余裕も感じられる。

師範の話のなかで、「混雑している電車の中でも、ひとり“この人は何か安心感がある”という人がいるだけで、いらだちが収まることもあります」というくだりがあった。

確かに、電車に限らず人が多く集まる場所で、なにも言葉も行動も発していないのに、「強さ」を感じる人がいる。それは怖さではなく、安心感のある強さ。

私も強くなりたい。
アスリートでもなければ、指導者でも、なんでもないけれど、ときどき師範の言葉を思い出しては、正座をしている。

これが結構、体の疲れもとれるのだ。
自体重の重さでふくらはぎのむくみに刺激が入るし、パソコン作業で猫背になりがちな背骨が正しく整う。少し座っていると、かかとにあたる左右のお尻のバランスが崩れていることや、腰の張りも意識できる。
そこで気持ちを整えて礼をすると、少しバランスが戻る感覚がある。

疲れた日こそ実感できると思うので、ぜひお試しを!