マガジンワールド

アスリート裏事情〜ボクシング編

 今回はアスリートの裏事情といいますか、表から見ていては伝わらない裏の苦労についてこっそり?触れてみたいと思います。

 最初のテーマは、ボクシングです。様々な階級制(クラス別)の競技がありますが、ボクシングほど細かく階級が分かれている競技はないかと思います。2kgちょっとで階級が変わるわけですから、ヘビー級のボクサー以外は体重調整にかなりの労力を使うこととなります。

 他の階級制の競技に比べて比較的長い減量期間を設けて、脂肪を削ぎ落とす作業を続けるわけですが、最後の最後に彼ら(彼女ら)がとる手段は「水抜き」です。

 水抜きとはまさに体内の水分量を減らして体重調整を行うやり方です。
私たちの体の約60%は水分ですから、ちょっと水分を抜いてやるだけであっという間に数kgは体重が落ちることになります(サウナに入って体重が落ちるのと同じ原理)。もちろん水は抜けないので、厳密には補充しない(飲まない)という形で体重を落としていくのです。
 しかし水分は3%抜けたら確実にパフォーマンスが落ちる事が証明されているので、そういった意味では一瞬パフォーマンスを落としても計量をパスするために体内の水分を抜いていくのです。

 あしたのジョーの中で、力石徹が減量の時に水道の蛇口を針金で縛って飲めないようにするシーンは今でも私の心に焼きついています。当時まだ少年だった私は、アニメならではのシーンかと思っていましたが、実際に自分が水抜きをやってみて決してあのシーンは大袈裟ではないと痛感したものです(梶原一騎さん凄い!)。

 ボクシングもタイトルマッチとなると前日計量が通常なので、特にこの水抜きもギリギリの所まで実施するようになります。そして計量が終わったらすばやく水を戻してやるのです。その際に急に冷たい水を飲むと胃が驚いてしまったりするので、常温のスポーツドリンクを水抜きで減らした分だけゆっくりと時間をかけて飲むようにします。その後、消化のいい炭水化物(お粥、ゼリードリンクなど)を摂り、徐々に固形物に変えていくのが安全な体重の戻し方です。実際、試合当日は2階級くらい上の体重で試合をしています。

 プロの選手でも間違える事が多いのが、いつから水抜きを始めるかという事です。体重が減らなくなるとつい焦ってしまい数週間前から水を抜く選手も見受けられます。しかし最初のうちは水抜きで体重が減っても途中からは減らなくなってしまいます。体が危機感を感じて水を抜けないように防御してしまうためです。水抜きのコツは短期集中です。水抜きをする前の数日間はむしろ多めに水を飲む方が上手に抜けていったりします。

っとまぁ、こんな水抜きや水戻しの話をしてもほとんど意味がありませんでしたね^_^; 基本的に水抜きは健康に悪い作業ですから、良い子のみなさんは真似をしないようにしましょう(^^)

 ただアスリート達は時には健康のためではなく、勝利やパフォーマンスのために肉体を酷使しているのだという裏事情です。
もちろんここまで酷使するためには、大前提として健康すぎるくらい健康な状態が求められますから、まずは目指せ健康ですね(^_^)v