左足キック力向上と腰痛緩和のトレーニングを教えて。
腸腰筋ストレッチののちに、腹筋を鍛えるメニューを。
キックオフさんの腰痛の原因が分離症の影響だとした場合のご回答になります。
サッカーを二度引退されてからの再スタートとの事でしたが、その練習量はおそらく大学生までの頃よりは少なくなっているのではないでしょうか。
問題は、生活習慣も含めて考えると以前より著しく低下している筋肉があり、逆にサッカーをやっている時にのみ過剰に使用する筋肉があるのではないかという事です。その状態で現在もサッカーをやっていると、以前には起こらなかった障害が発生する事も考えられます。
具体的に考えられる事は太もも前面の付け根の「腸腰筋」が過剰使用で緊張短縮してしまっている事です。いわゆる腿挙げをする時に使う筋肉です。この腸腰筋が緊張短縮すなわち硬くなっていると骨盤を前傾させる事になり反り腰を誘発します。腰が反った状況で運動を続けると特に分離症経験のある人は腰痛がひどくなります。
歩幅を広げて速く走るという動作はまさに腿挙げ動作であり、ただでさえ腸腰筋の柔軟性が低下して骨盤を前傾させているのに、更に腸腰筋を使用して短縮させるため骨盤が過剰前傾となり、反り腰が強くなり腰痛になる可能性が高まります。実はこれがキック力を下げている事の原因かもしれません。
腸腰筋の柔軟性が低下していると、キック前の足の引き(右の軸足を踏み込んだ時に左足が後方にある状態)が悪くなり、左足の「振り」が小さくなります。要するにテイクバックが小さくなる事でキック力が低下しているのかもしれません。
この部分の改善としてはやはりストレッチが有効と言えます。
方法は右脚を大きく前方に踏み込み(膝は90度くらいに曲げます)、後方の左の腿前を床に押し付けるようなつもりで腸腰筋をストレッチします。この時、骨盤が前傾しないように上体をしっかりと起こしたまま行うとよりストレッチされます。30秒ほど保持して反対脚も同様に行ってください。
実はもう一つ、大きな要因が考えられます。
キックオフさんは体幹トレーニングをされているとの事でしたが、それが有効なものでない可能性があります。
いわゆる「腹筋運動」ではキックオフさんの腰痛の緩和にはつながらないかもしれません。
問題は、腸腰筋を強く使用する時に腹筋が姿勢保持作用を発揮しているかどうかという事です。
腹筋は反り腰を抑える機能を持っているので是非とも鍛えておきたい部位です。しかし、単に強いだけでその効率的な使い方ができていないと、いざ必要な時に機能せず反り腰を抑えられないとう事があります。すなわち、腸腰筋が使われる時に腹筋がしっかりと使われるという事が重要なのです。
ここから考えると、例えばもっともオーソドックスな「クランチ」(膝を曲げて挙げた状態での腹筋運動)などはキックオフさんにとっては有効ではありません。このフォームは腹筋運動の時に腸腰筋が使われないようにするためのフォームだからです。
おすすめなのは、仰向けに寝て膝を曲げ、そこからお尻を浮かして身体を丸めるように膝を頭側に引きつけて戻すという「ヒップロール」です。このトレーングは腸腰筋を使いながら腹筋を鍛える効果があるので極めて有効です。一気に引き上げ、4秒かけて降ろすという動作を15回3セットくらいやってみてください。
まとめますと、腸腰筋のストレッチをしっかりと行い、そして腸腰筋を使いながら腹筋を鍛えるというトレーニングをする事で、腰痛改善とキック力向上が期待できるかもしれません。
相談者DATA
名前:キックオフ
年齢:40代
性別:男性
身長:171 cm
体重:70 kg
BMI:23.94
体脂肪率:15%
職業:会社員
スポーツ・身体活動:
小中高大 サッカー 大学卒業後運動歴無し 26歳~29歳社会人サッカー・フットサル その後運動を止め37歳からサッカー・フットサル・水泳
既往歴:腰椎分離症 腰椎4番5番
健康状態:
健康 1年半前は体重80㎏ 体脂肪23%くらい その頃から食事制限と水泳に頻度を上げて減量
平均食事回数と量:
朝:主食:ごはん 味噌汁 副菜肉・野菜メイン
昼:主食:ごはんor麺類 味噌汁 副菜肉・野菜メイン
夜:主食:ごはんor麺類 (味噌汁) 副菜肉・野菜メイン
お酒はおつきあいがあれば飲む程度 毎日飲まない
間食(補食):甘味(和菓子・洋菓子)
平均睡眠時間:3~5時間